福岡県感染症発生動向調査情報

第51週分(平成15年12月15日〜12月21日)

重症急性呼吸器症候群(SARS)

冬休みのため、昨年第52週分の感染症発生動向調査情報はまだ報告がありません。昨年第51週の感染症発生動向調査情報では、水痘、流行性耳下腺炎、伝染性紅斑の報告数が増加していました。

さて、平成14年11月から中国広東省や香港などで発生してきたSARSは、平成15年7月5日に終息を迎え、現在、SARSの感染が起こっている地域はありません。そのため、国内でSARS患者が発生する可能性は低いと考えられますが、また、いつ再び、流行が起こるかわかりません。今週は重症急性呼吸器症候群(SARS)についてお話しします。

SARSの主な症状は、38℃以上の高熱、痰を伴わない咳、呼吸困難で、胸部レントゲン写真では肺炎の所見がみられます。SARSの感染力は現在わかっている範囲では、感染した人の飛沫、体液を通じて感染すると考えられています。従って感染した人と濃厚な接触をしなければ、人から人に伝播しないと考えられています。

経過としては、80〜90%の人は発症後1週間程度で軽快していますが、10〜20%の人は、重症化し、人工呼吸器による治療が必要となります。致死率については、約10%程度と推計されています。

SARSの一般的な予防法としては、手を介して、ウイルスが人から人へと感染することがありますので、外出から帰ったら、石けんを使って、水を流しながら、手をよく洗いましょう。また、ウイルスの侵入を防ぐため、外出から帰ったらうがいをしましょう。うがいも口をぬらす程度では、効果がありません。15秒間のうがいを2,3回しましょう。SARSの主な感染経路は飛沫感染ですので、人ごみでの適切なマスクの使用は感染予防のために重要です。

SARSに関する相談は保健所で受け付けています。SARSについてご心配な方は、ご自宅の最寄りの保健所へ電話でご相談ください。(※この記事は、WHO(世界保健機関)やCDC(米国疾病予防管理センター)、国等からの現時点で得られる情報に基づき作成しています)