福岡県感染症発生動向調査情報

第3週分(平成16年1月12日〜1月18日)

インフルエンザ

今週第3週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数が急速に増加しています。県内での一定点医療機関あたりの報告数は2.77(前週0.94)、地区別では、北九州が2.39(前週1.18)、福岡が3.11(前週1.05)、筑豊が2.77(前週0.50)、筑後が2.53(前週0.65)となっています。1月19日に県内で、この冬初めての学級、学年閉鎖の報告がありました。そこで、今週は今後の流行が懸念されるインフルエンザについてお話しします。

インフルエンザの原因は、インフルエンザウイルスという病原体で、このウイルスには、A,B,Cの3つの型があります。A型は、ウイルスの表面のタンパク質のタイプによって、さらに細かく分けられます。近年流行しているのは、A型のソ連型(H1N1)と香港型(H3N2)およびB型です。今話題の鳥インフルエンザウイルスはヒトで流行しているソ連型(H1N1)や香港型(H3N2)とは異なりますが、大きな分類ではA型インフルエンザウイルスに属するものです。ヒトのA型インフルエンザウイルスの診断に使う迅速診断キットで、A型インフルエンザウイルスの検出はできますが、どの型、例えばソ連型(H1N1)なのか香港型(H3N2)なのか、あるいは鳥インフルエンザウイルスのH5N1型なのかの同定は、さらに細かい検査を行う必要があります。

現在、県内ではA香港型のウイルスが分離されています。全国的には長野県でAソ連型、多くの県でA香港型、静岡県・福井県等いくつかの県でB型の報告があっています。

麻しん(はしか)のように、一度かかると免疫ができ、その後はかかりにくくなるものがありますが、インフルエンザの場合は、ウイルスの表面のタンパク質が少しずつ変異するために、流行が繰り返されると考えられています。とくに、A型は数年から数十年に一度大きな変異を起すため、日本では、1918年(大正7年)からはスペインかぜ、1957年(昭和32年)からはアジアかぜ、1968年(昭和43年)からは香港かぜ、1977年(昭和52年)からはソ連かぜなどの大流行がみられています。

インフルエンザを予防するためには、外出後のうがいと手洗いの実行や、睡眠、バランスのとれた食事が大切です。もしインフルエンザにかかったときは、適切な治療はもちろんですが、休養を十分にとることも必要です。できるだけ無理をせず体を休め、睡眠をたっぷりととりましょう。また食事は消化が良く、栄養価の高いものをとりましょう。熱があるときは、水分を多めにとることも忘れないようにしましょう。

インフルエンザは唾液の中にウィルスが含まれており、せきやくしゃみでしぶきが飛び散って周囲にうつります。あまりせきやくしゃみがひどいときは、登校や出勤を避け、自宅でゆっくり休みましょう。