福岡県感染症発生動向調査情報

第5週分(平成16年1月26日〜2月1日)

インフルエンザの治療

今週第5週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数が急速に増加しています。県内での一定点医療機関あたりの報告数は24.7(前週12.0)、地区別では、北九州が15.8(前週8.1)、福岡が30.9(前週14.5)、筑豊が24.1(前週13.3)、筑後が10.5(前週11.2)となっています。今週もインフルエンザ特に治療についてお話しします。

福岡県内では、現在A香港型及びB型ウイルスが分離されています。この様に異なるウイルスが検出されたときには、1回かかっても、もう一つのウイルスに感染し、再びかかることがありますので、油断しないようにしましょう。

インフルエンザにかかったときに注意すべきことは、肺炎などの合併症の発生です。そのためには、単なる「かぜ」と思わずに、かかりつけの医師に早く相談するようにしましょう。

インフルエンザの治療は大きく分けて、安静・睡眠といった基本的な療養のほかに、抗ウイルス薬による治療、熱や咳などさまざまな症状を抑える対症療法があります。

治療の基本は、十分な安静と睡眠です。薬さえ飲めば、病気が治るといぅものではありません。まず、適当な温度(18〜20度)と湿度(60〜70%)を保った部屋で、十分な安静と睡眠をとりましょう。高い熱がでるため脱水になりやすいので、十分な水分をとりましょう。また、水分・糖分・ビタミン類が多く、脂肪分は避けた消化しやすい十分なカロリーのある食事を摂取するように努めましょう。

抗ウイルス薬は、発症して48時間以内に使用しないと効果がありません。現在、インフルエンザA型に効く塩酸アマンタジン(商品名:シンメトレル)と、A型とB型の両方に効くザナミビル(商品名:リレンザ)及びリン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)の3種類がありますが、耐性ウィルスの出現や副作用の問題などがあり、服用については注意が必要ですので、医師に十分相談しましょう。

対症療法としては、発熱に関しては38度を越える場合に解熱剤が使われることがありますが、解熱剤の中には、インフルエンザ脳症の発症との関連から使用を見合わせた方がよいと厚生労働省が呼びかけているものがあります。自己判断で薬を飲んだりせず、医師の指示に従うようにしましょう。また、夜眠れないほどひどい咳がでる場合は、咳止めが、さらに、鼻水を抑える薬などが使われます。