福岡県感染症発生動向調査情報

第9週分(平成16年2月23日〜2月29日)

感染性胃腸炎

今週第9週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数は各地区で減少しています。県内での一定点医療機関あたりの報告数は15.4(前週26.9)、地区別では、北九州が23.9(前週33.9)、福岡が11.7(前週22.3)、筑豊が14.0(前週32.6)、筑後が12.9(前週24.6)となっています。まだ、インフルエンザ流行発生警報は継続中です。また、感染性胃腸炎の報告数は増加しています。手洗いやうがいといった基本的予防法はいろいろな感染症予防に有効です。引き続き実施しましょう。

今週は、増加中の感染性胃腸炎、その中でも現在多く見られているロタウイルスによるものについてお話しします。

感染症発生動向調査における感染性胃腸炎とは、急に発症し、腹痛(新生児や乳児では不明)、嘔吐、下痢があり、かつ他の原因によるものを除外した病気を指しています。感染性胃腸炎の原因としては、カンピロバクターや黄色ブドウ球菌、サルモネラなどの細菌や、ロタウィルスなどのウィルスがあります。

ロタウィルスは秋から冬にかけて乳幼児に流行し、乳幼児嘔吐下痢症を起こします。一般に生後6か月〜2歳ごろの乳幼児によく見られます。

潜伏期は2〜3日で、症状としては、まず急な発熱と嘔吐がみられ、その後、嘔吐は減少しますが、下痢が始まります。下痢は白色〜黄白色で水様性、一日に十数回も出ることがあります。これらの症状から、以前は、仮性小児コレラや白色便下痢症などと呼ばれていました。

治療としては、頻回の下痢や嘔吐によって脱水が起こるため、水分補給が中心となります。食事は、弱っている胃腸に負担をかけないため、消化がよく柔らかいものがよいでしょう。脂肪分の多いものや、糖分の多いものは、胃腸に負担をかけるためしばらく控えましょう。場合によっては、吐き気止めや整腸剤などが使われることがありますが、あまり強い薬は使われません。ほぼ数日〜10日以内には治る病気ですが、脱水にならないよう注意しましょう。

感染経路は、ヒトからヒトへの経口感染で、発病後1週間が感染力が強いといわれています。感染予防のために排便後やオムツ交換後、調理や食事前に十分手洗いをすることが大切です。

子供の下痢症の際に注意したいのは以下の様な点です。@下痢発症後2〜3日は、少量ずつでも頻回に水分の補給を心掛け、脱水症を予防すること、A手洗い等を心掛け、家族内感染の予防に注意すること。