福岡県感染症発生動向調査情報

第10週分(平成16年3月1日〜3月7日)

高病原性鳥インフルエンザ

今週第10週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数は各地区で減少しています。県内での一定点医療機関あたりの報告数は8.8(前週15.6)、地区別では、北九州が15.2(前週23.9)、福岡が6.8(前週11.9)、筑豊が7.5(前週15.1)、筑後が5.9(前週12.9)となっています。福岡県内では、現在A香港型及びB型ウイルスが分離されています。この様に異なるウイルスが検出されたときには、1回かかっても、もう一つのウイルスに感染し、再びかかることがありますので、油断しないようにしましょう。また、感染性胃腸炎の報告数は増加中です。手洗いやうがいといった基本的予防法はいろいろな感染症予防に有効です。引き続き実施しましょう。

今週は、高病原性鳥インフルエンザについてお話しします。

鳥類のインフルエンザは「鳥インフルエンザ」と呼ばれ、このうちウイルスの感染を受けた鳥類が死亡し、全身症状などの特に強い病原性を示すものを「高病原性鳥インフルエンザ」と呼びます。

鳥のウイルスは人に通常感染するインフルエンザウイルスとは異なったタイプで、基本的に人に感染することはなく、感染している鳥と近距離で接触した場合や、それらの内臓や排泄物に接触する等、大量のウイルスが体内に入った場合、まれに感染することがあります。これまでのところ、香港などのように店頭での生きたニワトリの小売りが一般的な地域において発生した感染事例や、防疫業務に携わった人の感染事例などがまれに見られています。

食品としての鳥類(鶏肉、鶏卵)を食べることによって人が感染した例は世界的にみても報告はありません。なお、WHOによると、ウイルスは適切な加熱により死滅するとされており、一般的な方法として、食品の中心温度を70℃に達するよう加熱することを推奨しています。仮にウイルスの感染している鳥の卵や肉でも、確実に火を通して調理すれば、問題ありません。

通常の生活の中で、感染することは考えられませんので、現段階では特別な予防を行う必要はありません。ただ、日頃から鳥に限らず動物を飼う場合は、動物に触った後は手を洗うこと、糞尿は速やかに処理して動物のまわりを清潔にするなどを心がけることが重要です。また、動物の健康状態に異常があった場合は獣医さんに、飼い主が身体に不調を感じた場合は早めに医療機関を受診することも大切です。