福岡県感染症発生動向調査情報

第11週分(平成16年3月8日〜3月14日)

風しん

今週第11週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数は各地区で減少しています。県内での一定点医療機関あたりの報告数は6.3(前週9.0)です。福岡県内では、今シーズンはA香港型及びB型ウイルスが分離されています。この様に異なるウイルスが検出されたときには、1回かかっても、もう一つのウイルスに感染し、再びかかることがありますので、油断しないようにしましょう。また、感染性胃腸炎の報告数は増加中です。手洗いやうがいといった基本的予防法はいろいろな感染症予防に有効です。引き続き実施しましょう。

今週は、風しんについてお話しします。

風しんは風しんウイルスに感染して起こる病気で、3日はしかとも呼ばれています。風しんウイルスは患者さんの鼻やのどの分泌物の中に含まれており、接触や飛沫を吸い込むことによって感染が起こります。症状としては、2〜3週間の潜伏期の後、発熱と同時に発疹がみられ、3日間程持続します。発疹は淡紅色で、顔や首から始まって全身に広がります。また、この時期に首や耳の後ろのリンパ節が腫れることも特徴です。不顕性感染といって、症状がない場合や発疹がでない場合もあります。症状は一般にはしかよりも軽く、ほとんどが自然治癒しますが、まれに脳炎や髄膜炎を起こすこともあるので注意が必要です。

また、風しんに対する免疫(抗体)がない母親が、妊娠初期に感染すると子どもが先天性風しん症候群にかかることがあるので、妊娠の可能性のある女性は十分な注意が必要です。先天性風しん症候群では、子どもに白内障、心疾患、難聴などがみられます。先天性風しん症候群の発生数は、全国で2000〜2003年には各年1例の報告がみられています。今年は第10週までに全国で2例の報告がありました。

女性で、感染したことがない方や予防接種を受けたことがない方、よく覚えていない方は、妊娠前にかかりつけの医療機関で風しん抗体検査を受けることをお勧めします。そして、抗体のない女性は、妊娠前に風しんの予防接種を受けましょう。風しんワクチン接種後は、通常2ヶ月間は避妊しなければいけませんので、医療機関に相談すると良いでしょう。抗体のない妊婦さんは、風しん患者と接触しないように注意してください。

また、子どもの場合には、生後12〜90ヶ月が予防接種対象年齢になっていますので、早くから受けるようにしましょう。

風しんの予防接種率を上げることによって、免疫獲得者の割合を十分多くし、社会全体の流行を防ぎ、妊娠中の女性が風しんウイルスに曝露されないようにすることも大切です。