福岡県感染症発生動向調査情報

第14週分(平成16年3月29日〜4月4日)

動物由来感染症って?−動物由来感染症(その1)

今週第14週の感染症発生動向調査情報では、春休みの影響でしょうか、突発性発しんをはじめ多くの疾患が減少しましたが、水痘(水ぼうそう)は増加しています。一方、インフルエンザの報告数は引き続き各地区で減少しています。また、感染性胃腸炎の報告数も減少しています。近年、動物から人間へうつる感染症である「動物由来感染症」が注目されています。そこで、今回から、途中他の話題を提供することはありますが、数回にわたり、この動物由来感染症についていろいろとお話ししたいと思います。この動物由来感染症という名称は、人の健康問題の視点からとらえた言い方で、人畜共通感染症や人獣共通感染症とも呼ばれています。

これまで、このコーナーでいろいろな感染症をとりあげてきましたが、動物由来の感染症は、由来動物がはっきりしないものまで含めると、実は意外と多いのです。例を挙げると、エボラ出血熱、ペスト、腸管出血性大腸菌感染症(O157等)、E型肝炎、ウエストナイル熱、エキノコックス症、オウム病、Q熱、狂犬病、高病原性鳥インフルエンザ、日本脳炎等々。重症急性呼吸器症候群(SARS)も動物由来が疑われています。これら疾患に関係する動物は、それだけ多種にわたります。

このように挙げると、動物そのものがとても危ないように感じられるかも知れませんが、必ずしもそうではありません。すべての動物が危険なのではなく、一般に、管理されていない動物、つまり野生動物(ネズミなど都市型の野生動物も含まれます)が、より危険であると考えられています。逆に、管理されている動物である家畜、動物園などの展示動物、ペットは、より安全であると考えられます。ただし、ペットでも海外から輸入された希少動物は、その危険性が未知ですし、また管理されている動物であっても、その付き合い方によっては危険にもなります。動物と付き合う上では次のことに気をつけましょう。そして、体に不調を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

次回以降は、疾患別にお話しする予定です。

動物との付き合いで守りたいこと
1.動物との過剰な触れ合いを避ける
2.動物と触れ合う前と後には十分に手を洗う
3.糞便処理など動物の身の回りを清潔に
4.動物を飼育する上での義務を守る(犬では登録と予防接種)