福岡県感染症発生動向調査情報

第15週分(平成16年4月5日〜4月11日)

先天性風しん症候群
  〜昭和54年4月から昭和62年10月生まれの方へ〜

今週第15週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザはさらに減少しています。一方、風しんの報告が多くなっています。

そこで、今回は、前回から始めた動物由来感染症シリーズをいったんお休みして、風しんの報告数の増加傾向がみられたことから、注意が必要な先天性風しん症候群についてお話しします。

妊娠初期の女性が風しんにかかると、風しんウイルスが胎盤を通って胎児に感染し、出生児が先天性風しん症候群になることがあります。先天性風しん症候群では、子どもに白内障、心疾患、難聴などがみられます。妊娠中の感染時期が早いほど、発生しやすくなり、また多くの症状をもつようになります。ただし、先天性風しん症候群の発生は、遅くとも妊娠5ヶ月までの感染に限られ、妊娠後半期の感染で生じた報告はありません。最近では、全国で、年間1名程度の患児が報告されています。

先天性風しん症候群の予防としては、個人における予防と社会的な予防の2通りがあります。個人における予防としては、妊娠する前に風しんワクチンを受けることによって、風しんの免疫を獲得することです。社会的な予防としては、国民全体の風しんワクチンの接種率を上げることによって風しんの流行そのものを抑え、妊婦が風しんウイルスにばく露されないようにすることです。

その個人における予防についてですが、特に、昭和54年4月2日から昭和62年10月1日までの間に生まれた方々は、他の世代と比べて風しんワクチンの接種率が低いと言われています。女性で、感染したことがない方や予防接種を受けたことがない方、よく覚えていない方は、妊娠前にかかりつけの医療機関で風しん抗体検査を受けることをお勧めします。そして、抗体を持っていなかった女性は、妊娠していないことを確かめて、風しんワクチンの予防接種を受けましょう。また、風しんワクチン接種後は、最低2ヶ月間は避妊しなければいけません。医療機関とも十分相談してください。

なお、風しんワクチンの接種を受けた方から周囲の方に、風しんが感染することはありません。