福岡県感染症発生動向調査情報

第17週分(平成16年4月19日〜4月25日)

重症急性呼吸器症候群(SARS)

今週第17週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎が減少中です。風しんは、福岡地区を中心に県内各地区から報告があがっています。風しんだけでなく、先天性風しん症候群発生防止のためにも風しんの予防接種が勧められています。

今週は、中国で発生している重症急性呼吸器症候群(SARS)についてお話しします。

中国の北京及び安徽省において、SARS患者及びSARSの疑いのある患者が報告され、現在、患者の隔離とその接触者の健康状態の確認が行われています。十分な注意は必要なものの、いまのところ、中国国内において、感染が広がっているとの報告はありません。患者はすべて確認されたSARS患者と密接に接触した方に限られています。

SARSの主な症状は、38℃以上の高熱、痰を伴わない咳、呼吸困難で、胸部レントゲン写真では肺炎の所見がみられます。潜伏期間は、通常2〜10日で、急激な発熱、咳などで発症し、この期間には感染力は弱く、約1週間後に呼吸困難、痰を伴わない咳などの症状が現れはじめ、それとともに感染力も増強されると言われています。潜伏期や症状がない期間における他の人への感染力は無いか、またはきわめて感染の可能性は低いと考えられています。

現在、中国国内で流行がおこっているわけではありませんが、現地に渡航される方は、手洗い及びうがいの励行、規則正しい生活等、一般的な感染症の予防に心がけてください。また、念のため、これらの地域からの帰国時において発熱、せき、呼吸困難等の症状がある場合は、検疫所にお申し出ください。さらに、帰国後10日間以内にこれらの症状が出た場合には、電話で、最寄りの保健所に中国からの帰国であることを告げた上でご相談ください。

(※この記事は、WHO(世界保健機関)やCDC(米国疾病予防管理センター)、国等からの現時点で得られる情報に基づき作成しています)