福岡県感染症発生動向調査情報 |
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第18週分(平成16年4月26日〜5月2日) |
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動物由来感染症その3 ウエストナイル熱 |
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今週第18週の感染症発生動向調査情報は、連休の影響で集計結果がでていません。そこで、今週は、動物由来感染症シリーズ3回目として、ウエストナイル熱についてお話しします。 ウエストナイル熱は、これまでアフリカ、ヨーロッパ、西アジアなどで、患者発生が報告されていました。1999年、米国のニューヨーク市周辺での流行が報告されたことから、大きな注目をあつめるようになりました。 ウエストナイルウイルスは自然界においては、野鳥と蚊の感染サイクルで維持されています。ヒトはウエストナイルウイルスを持った蚊に刺されることにより感染します。通常、ヒトからヒトへの直接感染はありません。 ウエストナイルウイルスに感染しても、多くの人は無症状です。感染した人の約20%が、通常2〜6日間の潜伏期の後、突然の発熱(39度以上)で発症します。3〜6日間の発熱、頭痛、背部の痛み、筋肉痛、食欲不振などの症状があり、約半数で発疹が胸部、背、上肢にみられます。症状は通常1週間以内で回復しますが、その後倦怠感が残ることも多くあります。このウイルスが脳に感染して、さらに重篤な状態が、ウエストナイル脳炎で、激しい頭痛、意識障害、痙攣、筋力低下、麻痺などを示します。これら重症患者は、感染者の約1%にみられ、特に高齢の人は重症になりやすいといわれています。ウエストナイル熱に対する特効薬はなく、症状を軽減する治療が中心となります。また予防についても、日本脳炎のようにワクチンは、今のところありません。 現在のところ、日本においては輸入症例、国内感染の報告は、いずれもありませんが、このウイルスを媒介する蚊は、イエカやヤブカなどで、これらの蚊は日本にも生息しています。これから蚊が多くでてくるシーズンとなります。 蚊は、バケツ、古タイヤなど、ちょっとした水溜りにも卵を産むので、蚊の発生を減らすためには、これらの水を空にするよう心がけましょう。 また近年ウエストナイル熱の発生がある米国、カナダに旅行する時は、蚊に刺されないようにするため、次のことに注意しましょう。 |