福岡県感染症発生動向調査情報

第20週分(平成16年5月10日〜5月16日)

動物由来感染症 その5  オウム病

今週第20週の感染症発生動向調査情報では、百日咳、風しん、ヘルパンギーナが、やや多く報告されています。また、性感染症である性器クラミジア感染症、淋菌感染症も増加しています。その中で、風しんは、全国と比べても、引き続き多くの発生が報告されています。なお、今年の4月来報告されていた中国(北京、安徽省)での重症急性呼吸器症候群(SARS)については、5月18日に世界保健機関(WHO)から終息宣言がだされました。

さて、今週は、福岡県においてオウム病の発生報告が1件ありましたので、動物由来感染症シリーズとして、オウム病についてお話しします。

オウム病の病原体は、オウム病クラミジアです。人は、この菌に汚染されたトリの羽毛やまき散らされた排泄物などを吸い込んで感染します。また、感染したトリに、口移しでエサを与えたり、噛まれたりして感染することもまれにあります。このオウム病に感染するトリは、主としてオウム、インコですが、ハト、鶏、ブンチョウ、ジュウシマツ、その他の野鳥も感染します。トリの場合、感染しても症状のでないことが多いのですが、環境や飼育状態が悪いと発病し、衰弱死します。感染したトリが病気になったり、体調を崩したりした際には、大量にクラミジアを排菌すると言われていますので、注意が必要です。

オウム病の潜伏期間は、1〜2週間です。高熱で突然発症することが多く、セキなどの呼吸器症状がみられます。軽症例から肺炎や髄膜炎などの重症例まで様々です。主として、30〜60歳の成人に発症することが多く、子どもの感染は、比較的少ないようです。治療は、有効な抗生物資がありますので、早期の診断および治療が大切です。

オウム病の予防のために、次のことに注意しましょう。
1.トリを飼うときは、羽や糞(ふん)が残らないよう常に清潔にしましょう。
2.トリに口移しでエサを与えるなど濃厚な接触は、避けましょう。
3.トリを飼っている人が、重いかぜの症状を感じたら、オウム病も疑って医療機関を受診し、トリを飼っていることを医師に説明しましょう。
4.日頃から飼育しているトリの状態を観察し、異常を認めた場合は、獣医師に相談しましょう。