福岡県感染症発生動向調査情報

第22週分(平成16年5月24日〜5月30日)

ヘルパンギーナ

今週第22週の感染症発生動向調査情報では、夏期に増加する咽頭結膜熱、手足口病、ヘルパンギーナが増加しています。食中毒が多く発生する季節です。ご注意ください。

今週は、夏かぜの代表疾患で、現在増加中であるヘルパンギーナについてお話しします。

ヘルパンギーナは、エンテロウイルスの1つであるA群コクサッキーウイルスによっておこる感染症です。患者の年齢は、4歳以下がほとんどで、1歳代にもっとも多くみられます。

2〜4日の潜伏期のあと、急な発熱に続いて、口の中やのどに直径1〜2mm程度の小さな水疱(すいほう)ができます。水疱はやがて破れて浅い潰瘍をつくります。そのため、のどの痛みや食べ物を飲み込むときの痛みを訴えるようになります。乳児がかかった場合は、ミルクや離乳食をほしがらないといったこともみられます。熱は2〜4日間ほど続いた後、解熱し、その後、やや遅れて、のどの痛みもおさまります。

患者の咳、痰、くしゃみなどによる飛沫で感染しますが、その他にも、このウイルスは腸の中で増殖し便に排泄されるため、おむつや下着、床、椅子、おもちゃなどが汚染されることから、手を介する経口感染も少なくありません。

一般的に、予後は良好ですが、症状があるときには、次のことに注意しましょう。

1.のどの痛みのため、食物・水分摂取が困難になりますが、発熱もありますので、脱水症にならないよう、十分水分をとるようにしましょう。
2.稀に髄膜炎を合併することがありますので、いったん下がった熱がまた上がるようなことがあったり、頭痛を伴ったりする場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
3.症状がおさまっても数週間は便の中にウイルスが出ることがありますので、排便後、食事を作る時、食べる前の手洗いを心がけましょう。