福岡県感染症発生動向調査情報

第23週分(平成16年5月31日〜6月6日)

手足口病

今週第23週の感染症発生動向調査情報では、手足口病、ヘルパンギーナ、流行性耳下腺炎などの報告が増えています。また、風しんは、引き続き、全国と比べて多くの発生が報告されています。先天性風しん症候群発生防止のためにも、風しんの予防接種が勧められています。特に、女性で、風しんに感染したことがない方や予防接種を受けたことがない方、よく覚えていない方は、妊娠前にかかりつけの医療機関で風しん抗体検査を受けることをお勧めします。

今週は、前週でお話したヘルパンギーナと同様、これから夏に向けて増加する疾患で、現在も増加傾向にある手足口病についてお話しします。

手足口病は、エンテロウイルス71型、コクサッキーウイルスA16型等のウイルスによって引き起こされる急性ウイルス感染症で、幼児を中心に初夏から初秋にかけて流行がみられます。

3〜5日間の潜伏期をおいて、症状は、その名が示すとおり、手のひら、足のうら、口唇、頬の内側、舌などに2〜3ミリの水疱ができます。かゆみなどを伴うことはまれです。発熱は、軽度であり、38度以下のことがほとんどです。通常は、3〜7日の経過で改善し、水痘(水ぼうそう)などと違い、水疱の部分に、かさぶたができることもありません。

このように基本的には、予後は良好な疾患ですが、まれに無菌性髄膜炎や脳炎などの合併症を起こす場合があり、重症の脳炎では死亡する場合があります。このため、特に、元気がない、頭痛、嘔吐、高熱、2日以上続く発熱などの症状が合わせてみられたときは、それら合併症の可能性がありますので、早めに医療機関を受診しましょう。

また、口の中の粘膜などに水泡ができ、それが破れると痛みを伴うことがあるために、食事が十分にとれず、水分不足になることがありますので、この様な時は、刺激が少なく、くちあたりのやわらかい食べ物や飲み物を取り、脱水を起こさないように気をつけましょう。

人から人への感染は、口の中の病変からの飛沫、便からの経口感染、水疱の内容物との接触によるものがあります。便中へのウイルスの排泄は、長期間にわたり、症状が消失したあとも2〜4週間にわたり続くことがありますので、排便後、おむつ交換後、水疱との接触後、また、食事や調理前には、十分手洗いすることを心がけましょう。