福岡県感染症発生動向調査情報

第24週分(平成16年6月7日〜6月13日)

ハンセン病【ハンセン病を正しく理解する週間について】

今週第24週の感染症発生動向調査情報では、咽頭結膜熱、手足口病、伝染性紅斑(リンゴ病)、ヘルパンギーナ、性器クラミジアなどの報告が、増加しています。風しんの発生も続いています。また麻しん(はしか)も少数ではありますが、報告が続いています。

さて、6月20日から26日までは、「ハンセン病を正しく理解する週間」です。そこで今週はハンセン病についてお話しします。

ハンセン病は、「らい菌」という病原体によって起こされる感染症です。遺伝する病気ではありません。感染症といっても、その感染力は非常に弱く、入浴・飲食などの日常生活で感染することはありません。

また、感染しても発病することはまれで、これまでにハンセン病の療養所の医師や看護師などの職員でハンセン病になった人はいません。最近の日本での年間患者発生数は10名以下で、過去に感染し、加齢や癌などで免疫力が低下したために発病したと考えられています。

ハンセン病は、皮膚や末梢神経の病気で、外見上に特徴的な変形が生じたり、熱さ、冷たさ、痛みなどの感覚が麻痺するため、やけどや傷ができても分からなかったりすることがあります。

現在、治療はいくつかの薬剤を併用する多剤併用療法を基本として行われています。早期に発見し、適切に治療をすれば、障害を残すことなく治癒できます。決して不治の病ではありません。

日本では、ハンセン病の患者に対する隔離政策が、明治40年の「癩予防ニ関スル件」制定から平成8年の「らい予防法」廃止まで、長年にわたり続けられてきました。そのため、ハンセン病の患者の方々は、親や兄弟姉妹と一緒に暮らすことができず、結婚しても子どもを産むことが許されず、さらに、一生療養所から出て暮らすことができないなどといった生活の規制をこれまでずっと強いられてきました。それに加え、その症状や後遺症による身体の変形などによって、差別と偏見にさらされてきました。そうした長い間の差別や偏見は、今もなおハンセン病を患った方々を苦しめています。

このコラムの読者のみなさんが、ハンセン病について十分理解し、そして、患者・元患者の方々に対する偏見や差別が無くなる世の中に少しでも早くなるよう願っています。