福岡県感染症発生動向調査情報

第27週分(平成16年6月28日〜7月4日)

腸管出血性大腸菌感染症 O157

今週第27週の感染症発生動向調査情報では、手足口病、伝染性紅斑、ヘルパンギーナ、流行性角結膜炎などの報告が増加しています。

今週は、例年同様、この時期に報告が増えている腸管出血性大腸菌感染症についてお話しします。

腸管出血性大腸菌感染症は、ベロ毒素という毒素を出し、下痢、血便などの症状をおこす大腸菌による感染症です。菌の成分により幾つかに分類され、その代表的なものがO157です。その他にも、O26やO111などが知られています。 また、これらの菌は、人だけでなく、ウシ、ヒツジ、シカなどの反芻(はんすう)動物の糞便中にも見られることがあります。

福岡県では、昨年1年間で、281件の感染者の報告がありました。発生時期は、夏期に多く、特に乳幼児や高齢者は重症化しやすいといわれています。

人への感染は、飲食物等を介した経口感染で、牛肉などの食肉、食肉から二次的に汚染された食品、牛の糞などで汚染された飲料水、患者の便で汚染されたものなどを口にした場合に起こります。 また、感染力が強く、少数の菌でも感染が成立するため、家族や保育園内などでの二次感染が多いことが特徴です。

潜伏期は平均3〜5日程度で、主に水様性下痢と腹痛で発症し、血便がみられることもあります。一方、感染しても、症状がでないこともあります。下痢などの初発症状が現れて、数日後から2週間以内の時期に、腎臓の障害などをきたす溶血性尿毒症症候群(HUS)とよばれる合併症をおこすことがあります。さらに意識障害やけいれんを伴うこともあり、このHUSを発症した場合の致死率は、1〜5%と言われています。

予防のポイントは食品の衛生的取扱いです。特に生肉などを取り扱う時には、注意が必要です。手洗いを十分に行い、生肉などを切った包丁やまな板は、洗ってから熱湯をかけたのち使う事が大切です。生の肉の汁などが、果物やサラダなど生で食べる物や調理の済んだ食品にかからないようにしましょう。

また、保育園や幼稚園など乳幼児が集団生活する施設においては、タオルの共用は避け、個人専用とすること、プールに入る前にはシャワー等で身体を清潔にすること、食事前、排便後、おむつ交換後の手洗いを徹底することなどを心がけましょう。