福岡県感染症発生動向調査情報

第34週分(平成16年8月16日〜8月22日)

ビブリオ・バルニフィカス

第34週の感染症発生動向調査情報では、O157等の腸管出血性大腸菌感染症の報告が続いています。また、海外からの帰国者で、コレラや赤痢の発生が、全国的に報告されています。

このところ、朝晩は少し涼しくなってきましたが、まだまだ暑い日が続いています。そこで、今週は、海水が暖かくなるこの時期に発生しやすくなるビブリオ・バルニフィカスについてお話しします。

ビブリオ・バルニフィカスは、細菌の一種で、広く海水中に生息しており、海水が暖かくなるとともに、増殖が活発になります。そして、菌に汚染された魚介類の摂取や、皮膚の傷口などから人に感染します。

病原性は弱い菌であり、健康な人は、感染しても、下痢や腹痛を起こすことはありますが、重症化することはほとんどありません。しかし、頻度は低いものの、免疫力が低下している人や、肝硬変などの肝臓疾患のある人などでは、重篤化することがあり、注意が必要です。また、貧血などの治療で鉄剤の投与を受けている人も注意が必要という指摘もあります。

数時間から1日と短い潜伏期のあと、発熱、皮膚の炎症、痛みなどで発症します。この細菌が全身に広がる感染を起こした場合、死亡する確率は50%〜70%と非常に高くなります。

よって、健康な人には、あまり心配はいりませんが、肝臓疾患があるなど危険性がある人は、この時期には、魚介類の生食を控え、また傷があるときは海水との接触を避けましょう。海岸や岩場で、裸足で歩いて怪我をし感染したと思われる事例もありますので、ハイリスクの人は、海岸では素足で歩かないようにしましょう。

治療は、抗菌薬や補液が中心となりますが、早期の治療が必要とされています。そのため、肝臓疾患がある人などは、刺身などの魚介類の生食後、体調に不調を感じたら直ちに医療機関にかかりましょう。