福岡県感染症発生動向調査情報

第35週分(平成16年8月23日〜8月29日)

マイコプラズマ肺炎

第35週の感染症発生動向調査情報では、O157等の腸管出血性大腸菌感染症の報告が続いています。また、カンピロバクターやサルモネラなど食中毒の原因となる菌による感染症も多く報告されています。その他に、性器クラミジア感染症、性器ヘルペス、淋菌感染症など性感染症の報告が増加しています。

今週は、全国で例年と比べるとやや多く報告されており、福岡県でも、このところ報告数が少し増えているマイコプラズマ肺炎についてお話しします。

マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマという病原体の感染によって起こります。以前は4年ごとオリンピックの年に流行するとされていましたが、最近はそのような周期性は見られなくなっています。1年を通して、また、幼児期、学童期、青年期を中心に多くみられます。

症状としては、2〜3週間の潜伏期のあとに、発熱、頭痛、倦怠感、咳などの症状が見られます。
当初は、痰を伴わない咳で、経過に従い、徐々に強くなり、解熱後も3〜4週間と長く続くことがあり、痰を伴う咳となることが多いようです。

感染経路としては、患者の鼻やのどからの分泌物に直接触れたり、飛沫を吸い込んだりすることによるものがあります。発病前1週間〜発病後10日程度が、感染力がある期間といわれています。

治療は、有効な抗生物質があり、一般的に予後は良好で、比較的軽症に経過します。しかし、呼吸器以外に発疹、脳炎などの合併症が見られることがあり、また、気管支喘息の発症や誘発に関与することがあると言われており、注意が必要です。ワクチンなど特異的な予防方法はありませんが、流行している時には、手洗い、うがいなどの一般的な予防方法の励行と、患者との濃厚な接触は避けましょう。