福岡県感染症発生動向調査情報

第38週分(平成16年9月13日〜9月19日)

結核(後編) 

第38週の感染症発生動向調査情報では、O157等の腸管出血性大腸菌感染症の報告は続いていますが、やや減少傾向にあります。破傷風の報告が1件ありました。

結核予防週間(9月24日〜30日)にちなんで、先週に引き続き、今週も結核の話題で、特に結核の検査、予防、治療についてお話しします。

結核の検査は主に、胸部エックス線検査、喀痰検査、ツベルクリン反応検査があります。

胸部エックス線検査では、結核の発病の有無を判定します。

喀痰検査では、痰の中の結核菌の有無を調べます。結核の確定診断および人への感染性について調べる重要な検査です。そのため3日間連続で痰を取って調べます。菌の培養検査は、判定に約1〜2ヶ月間かかります。また、痰の中に結核菌が出ていない場合は、他人に結核を感染させる危険性は、ほとんどありません。

ツベルクリン反応検査では、結核に感染したかどうかを判定します。結核に感染していると、接種部位が発赤、硬結します。ツベルクリン注射48時間後、発赤の大きさが10mm以上だと陽性、つまり感染していると判定します。ただし、過去にBCGの接種歴があると陽性になりますので、発赤の大きさや水泡ができるなど反応の強さや結核患者との接触の程度で感染の有無を判断します。

乳幼児が結核に感染した場合は、結核性髄膜炎や粟粒(ぞくりゅう)結核といった命にかかわる重症の結核を発病しやすく、後遺症も深刻です。これを予防するのがBCGという予防接種です。1歳になるまでの、生後できるだけ早い時期にBCG接種を受けさせましょう。

結核の治療は、昔はよい薬がなかったため長期に渡る入院、療養が必要でしたが、現在は、有効な抗結核薬があり、3〜4種類の薬を6〜9ヶ月服用することで短期間に治すことができるようになりました。治療により菌は激減しますので、きちんとした治療を始めれば、周りの人に感染させる危険性は早期に少なくなります。また、痰の中に結核菌が出ていない軽症者については、通常、外来での治療となります。

しかし、症状が消えたからといって、治療の途中で服薬を自己判断で勝手にやめてしまうと、菌が薬への抵抗力をつけ、以後、薬が効かなくなることがあります。医師の指示に従い、治療終了まで薬をきちんと飲みつづけましょう。

結核は、現在では、早期に発見すれば、治る病気であり、周りの人へ感染する危険も減らせます。そのため、咳、痰、熱、だるさ等、風邪に似た症状が2週間以上続いたときは、早めに医療機関で受診しましょう。単なるかぜと自己判断せず、「結核では?」と疑うことが大切です。