福岡県感染症発生動向調査情報

第42週分(平成16年10月11日〜10月17日)

RSウイルス感染症

第42週の感染症発生動向調査情報では、RSウイルスの報告が続いています。インフルエンザの報告もまだ数は少ないですが出始めています。

さて、今週は、このところ報告数が増えているRSウイルス感染症についてお話しします。

RSウイルス感染症は、RSV(Respiratory syncytial virus)によっておこる感染症で、かぜの原因となるウイルスのひとつです。日本では、冬季に多く報告され、毎年、特に都市部において流行を繰り返します。 
 
2日〜8日間の潜伏期のあと、発熱、鼻汁などの上気道炎症状が数日続き、その後、咳や喘鳴(ぜいめい)が出現し、通常10日前後で軽快します。RSウイルスは、一度かかっても免疫ができにくく、繰り返し感染しながら徐々に免疫ができていきますので、年齢を追うごとに症状は軽減します。乳幼児においては、急性細気管支炎や肺炎など重症化しやすいため、脱水症状や痰がつまってゼイゼイするような咳がでて苦しそうにしている場合は、早めに医療機関で受診しましょう。

また、高齢者においても、しばしば重症となることがあり、長期療養施設内での集団感染が問題となったこともあります。感染児を看護する保護者や医療従事者は、気管支炎やインフルエンザ様症状をきたし、より重症になることがあります。
 
RSウイルスの感染力は強く、咳やくしゃみなどをした際にでる飛沫や、痰などの気道分泌物が付着した手指やおもちゃなどを介して、ウイルスが、目、のど、鼻の粘膜から感染します。したがって、調理や食事の前、鼻をかんだ後などは、手を良く洗いましょう。
 
現在、RSウイルス感染症に効果のあるワクチンはなく、治療も症状を抑える対症療法が中心となります。

1歳未満の乳幼児ついて、両親ともに喫煙する家庭は、そうでない家庭と比べて、乳幼児が、肺炎、気管支炎になりやすいという報告があります。寒い季節になると換気する回数も少なくなり、その影響も大きくなりますので、肺炎、気管支炎予防のためにも子どもの受動喫煙を防止しましょう。