福岡県感染症発生動向調査情報

第45週分(平成16年11月1日〜11月7日)

水痘(水ぼうそう)

第45週の感染症発生動向調査情報では、前週の報告で増えていたインフルエンザは、減少しました。まだ流行の域には達していません。早めのインフルエンザワクチンの接種をお勧めします。RSウイルス感染症は、やや多い状況で続いています。その他、A群溶血性レンサ球菌感染症、水痘の報告が増えています。

今週は、現在報告が増えている水痘についてお話しします。

水痘は、水ぼうそうとも呼ばれており、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる急性のウイルス性感染症です。11月〜6月にかけて流行し、日本では、り患者の約8割が5歳以下の小児です。

潜伏期は、2週間程度で、子どもでは、発疹が初発症状ですが、成人では、発疹出現前に、1〜2日の発熱と全身倦怠感を伴うことがあります。発疹は、全身に現れ、かゆみを伴い、数時間で水泡となり、その後、かさぶたのようになります。通常は、最初に頭皮、次いで体幹、四肢に出現しますが、体幹に最も多くなり、数日にわたり新しい発疹が次々に出現します。経過は、一般的に軽症ですが、まれに成人や免疫不全を持つ小児の場合には、重症化して、肺炎や脳炎などの合併症をおこすこともあります。元気がなく、ぐったりしているときや嘔吐がひどいときには早めに診察を受けましょう。回復後は、終生免疫を得ますので、通常は、その後感染しても発症しません。

水痘は、感染力の強いウイルスの一つであり、発疹がでる1〜2日前から、水疱がかさぶたになるまで感染力があるとされています。

基本的に自然治癒が期待できますが、重症の感染に対しては抗ウイルス剤や免疫グロブリン製剤などを使用することがあります。また、発熱に対してアスピリンを含む解熱剤を服用した場合、ライ症候群(小児にみられる急性脳症)をおこすことがありますので、医師の指示なく薬を飲ませることはやめましょう。