福岡県感染症発生動向調査情報

第47週分(平成16年11月15日〜11月21日)

エイズ(後天性免疫不全症候群) 
〜12月1日は世界エイズデーです〜

第47週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎、水痘の報告が増加しています。インフルエンザの報告は増えていません。

12月1日は、世界エイズデーです。これは、WHO(世界保健機関)が、世界的レベルのエイズまん延防止及び、患者・感染者に対する差別と偏見の解消を図ることを目的として定めたもので、現在は、UNAIDS(国連合同エイズ計画)に引き継がれています。例年、世界中で、また国内でも、この日に合わせて、さまざまなエイズに関する啓発活動が実施されています。そこで、今回は、このエイズについてお話しします。

エイズ(AIDS)とは、後天性免疫不全症候群の略称で、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染によって起こり、身体を病気から守る免疫系が破壊され、さまざまな感染症や悪性腫瘍などにかかる病気です。未治療の場合、感染後、約半数の人が10年以内にエイズを発症すると言われています。

HIVの主な感染経路は、性的接触による感染、血液による感染、母子感染の3つで、全体の約8割が、性的接触によるものです。HIVに感染しても、すぐに症状がでるわけではありません。しかし、症状がなくても性行為によって他人にうつす危険性はあり、性行為におけるコンドームの適切な使用は、エイズ予防にとって有効な手段です。
握手や抱擁、会話、咳、くしゃみ、食器の共用、コップの回し飲み、プール、風呂で感染することはありません。 エイズ治療は格段に進歩しており、薬で免疫機能を良好に保つことも可能になってきました。また病気の程度によっては医療費の助成が受けられる制度や患者・感染者を支えるボランティア団体もあり、HIV感染者・エイズ患者のために、このような社会支援が整いつつあります。

前述のUNAIDSによる最新の報告によれば、今年末には、世界で、HIV感染者総数(生存者)は約4000万人に、成人の有病率は約1%に達すると推計されており、また昨年1年間で約300万人がエイズで死亡したと推定されています。日本においても、昨年1年間で新たに640件のHIV感染者の報告があり、過去最高の報告数となっています。このうち8割以上を日本国籍の男性が占めており、中でも男性同性間での性的接触による感染の報告が半数近くあり、その数も顕著に増加しています。

保健所ではエイズの相談や検査を匿名、無料で行っております。また、世界エイズデーに関連した活動の一環として、夜間エイズ検査も拡大して実施しています。詳しい日時と場所については、福岡県健康対策課(092−651−1111代表)までお問い合わせください。