福岡県感染症発生動向調査情報

第49週分(平成16年11月29日〜12月5日)

C型肝炎

第49週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎が更に増加しています。ウイルス性の胃腸炎や食中毒が流行する時期であり、注意が必要です。インフルエンザの報告は、まだ少数です。

肝炎を起こす原因にはいろいろとありますが、わが国では、そのほとんどは肝炎ウイルスによるものです。これらのうち、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染によるものを、C型肝炎と呼びます。現在、わが国の肝硬変、肝がんによる死亡の7割以上が、C型肝炎ウイルスの持続的な感染に起因しています。そこで、今週は、そのC型肝炎についてお話しします。
 
C型肝炎は、感染している人の血液が他の人の血液内に入ることによって感染します。しかし、C型肝炎ウイルスに感染しても症状がない場合が多くあります。一般的に症状が重いとされる急性肝炎の場合でも、自覚症状の出現率は、2〜3割程度で、症状としては全身倦怠感に引き続き食欲不振、悪心、嘔吐などです。慢性肝炎の場合では、自覚症状のない場合が非常に多いと言われています。

C型慢性肝炎の治療法には、大きく分けて、抗ウイルス療法(インターフェロンなど)と肝庇護(ひご)療法の2つの方法があり、これらの治療により、ウイルスを排除したり、肝硬変や肝がんになることを予防したり、遅らせたりすることができます。

C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、採血による検査でわかります。早期の治療につなげるためにも、これまで肝炎ウイルス検査を受けた経験のない方は、肝炎ウイルス検査を受けましょう。
特に、次にあてはまる方々は、C型肝炎ウイルス感染の可能性が一般の方々より高いと考えられています。

・1992年(平成4年)以前に輸血を受けた方
・長期に血液透析を受けている方
・輸入非加熱血液凝固因子製剤を投与された方、またはそれと同様のリスクを有する非加熱凝固因子製剤を投与された方
・フィブリノゲン製剤(フィブリン糊としての使用含む)を投与された方
・大きな手術を受けた方
・臓器移植を受けた方
・薬物濫用者、入れ墨をしている方
・ボディピアスを施している方
・その他(過去に健康診断等で肝機能検査の異常を指摘されているにも関わらず、その後肝炎の検査を実施していない方)