福岡県感染症発生動向調査情報

第50週分(平成16年12月6日〜12月12日)

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

第50週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎が更に増加しています。インフルエンザの報告数は、少数で、まだ流行の域には達していません。

今年、流行性耳下腺炎が、近年に比べ多く報告されています。特に10月からは、筑後地域からの報告が目立っています。そこで、今週は流行性耳下腺炎についてお話しします。

流行性耳下腺炎は、一般に「おたふくかぜ」と呼ばれるもので、ムンプスウイルスによって起こる病気です。3歳〜6歳で、報告患者の約6割を占めています。接触、あるいは飛まつ感染で伝播し、感染力はかなり強いと言われています。

2〜3週間の潜伏期の後、症状は、その名の通り急に始まる耳の下の腫れや痛みを特徴とします。腫れは片方だけの場合もあれば両方の場合もあります。また、会話や食事のために口を大きく開けた時、あるいは酸味のあるものを食べた時に痛みが増すのも特徴です。軽度の発熱等も見られますが、通常1〜2週間で軽快します。なお、感染しても症状が現れない不顕性感染も3割程度とされています。

最も多い合併症として、無菌性髄膜炎があります。さらに、思春期以降では、精巣(睾丸)炎、卵巣炎を合併することがあります。また、まれですが、難聴や膵炎などをおこすこともあります。

特別な治療法はありませんが腫れや痛みに対しては湿布や痛み止めが有効です。発熱があり、耳下腺が腫れて痛いために、食欲が落ちて脱水を起こしやすいので、水分の補給に気をつけましょう。

予防のためには、おたふくかぜワクチンがあります。1歳以上で流行性耳下腺炎にかかったことのない人に対し、任意接種(予防接種法などで定められた定期予防接種以外の予防接種。受けたい人が自分でお金を支払って受ける)で行われています。ワクチンの副反応として重要なものに髄膜炎がありますが、自然に感染した場合に起こる髄膜炎に比べ、頻度も少なく、約1000人〜2000人に1人程度です。ワクチン接種を希望される場合はかかりつけの医師に相談してください。 

学校保健法では、耳下腺の腫脹がある間は、ウイルスの排泄が多いので、腫脹が消失するまで出席停止となっています。ただし、病状により学校医その他の医師において伝染のおそれがないと認めたときはこの限りではありません。