福岡県感染症発生動向調査情報

第28週分(平成17年7月11日〜平成17年7月17日)

日本紅斑熱

本年5月、福岡県内で日本紅斑熱の患者が1例報告されました。日本紅斑熱は、これまで九州を含む西日本の各地で報告されていましたが、福岡県では、初めての報告となります。

日本紅斑熱は、例年4月から11月に発生し、夏から秋にかけて報告が多くなります。夏休みにも入り、これから軽装で、野山などへ行く機会も多くなることから、今回は、日本紅斑熱についてお話しします。

日本紅斑熱は、病原体であるリケッチア・ジャポニカを保有するマダニに刺咬されることによって感染します。通常は人から人への感染はありません。

マダニ刺咬後、2〜10日で、頭痛、悪寒戦慄を伴う突然の発熱、紅斑、関節痛が現れます。紅斑は、米粒大で手足、手掌、顔面に多数出現し、全身に広がります。痛みや痒みがないのが特徴です。またマダニによる刺し口が多くの例で見つかります。

治療としては、テトラサイクリンなどの抗生物質がよく効きます。しかし、治療が遅れると意識障害や多臓器不全など重症化することもありますので、早めに医療機関で受診することが大切です。

すべてのマダニが病原体を保有しているわけではありませんが、予防のためには、できるだけダニに刺されないように注意することです。山地・山間部での農作業、森林作業、レジャー等の際には、長袖の上着、長ズボンなどの服装で皮膚を露出させず、むやみに地面に腰を下ろしたり寝転んだりせず、また帰宅後は、すぐに入浴し、服を着替えましょう。