毎年、県内での入浴中の死亡事故が、12月、1月、2月の冬季に多く発生し、そのうち高齢者(65歳以上)が、9割近くと多くを占めています。そこで今回は、感染症情報ではないのですが、冬季における高齢者の入浴事故についてお話しします。
この冬季の入浴事故の原因として、次のようなことが考えられています。
冬季になり気温が下がり、脱衣所や浴室内の室温が低下すると、浴槽温度との差が大きくなり、入浴時における血圧変動が大きくなります。これは、温度の差により血管の収縮や拡張が急激におこることが要因です。そのため、脳卒中や心筋梗塞等の虚血性心疾患などが発症する危険性が高くなります。また、入浴による発汗により、脱水状態となれば、これらの疾患を発症する危険性がより高くなります。
また、一般に高齢者は、高血圧の頻度が高いことと、加齢により、血管がもろくなったり、血圧の変動を調整する機能が低下したりすると、より脳卒中や心筋梗塞の発症の危険性が高まります。
つまり、高齢者の冬季の入浴は、急激な血圧の変化等により、心筋梗塞や脳卒中を発症する危険性が高くなることが、入浴中の死亡事故が多くなる原因のひとつとして考えられます。
そのため、以下の対処方法をお勧めします。
・寒い季節は、脱衣室や浴室は温めて入りましょう
・冬季の熱い長湯は避けましょう(湯温は38度〜41度の中温程度に、入浴時間は20分以内に)
・浴槽にはあまりたっぷりお湯は張らないようにしましょう
・「かけ湯」や「半身浴」を組み合わせるなど入浴法を工夫しましょう
・入浴の前後に水分補給をしましょう
・家族に声を掛けてから入浴しましょう
・飲酒後の入浴や、入浴直前、直後の薬の服用は避けましょう
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