福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第2週分(平成18年1月9日〜平成18年1月15日)

インフルエンザ脳症

近年、全国で年間100〜200例のインフルエンザに関連したと考えられる急性脳症が、主に小児のあいだで発生し、現在病態の解明が進められています。この脳症は、他のウイルス感染でも同様に起きることがあるのですが、インフルエンザをきっかけとして起こることが最も多いため、インフルエンザ脳症と呼ばれています。インフルエンザ脳症の特徴として次のようなことが挙げられます。

1.インフルエンザの流行の規模が大きいほど発症が多発する。
2.主に6歳以下の小さな子どもが発症し、発熱して数時間〜1日と神経症状がでるまでの期間が短い。
3.主にけいれん、意味不明な言動、急速に進行する意識障害が症状の中心である。
4.死亡率は、約15〜30%と高く、知能低下や運動麻痺等の後遺症も25%の子どもにみられるなど、重い疾患である。
5.現在まで日本で多発し、欧米での報告は非常に少ない。

また、一部の解熱剤と、このインフルエンザ脳症の重症化との関連も指摘されていますので、解熱剤の服用にあたっては、自己判断せず、医師の指示に従ってください。インフルエンザ脳症の治療法については、まだ確立されたものはありませんが、小さな子どもで、けいれんや意識障害がみられるような場合は、できるだけ早く医療機関で受診することをお勧めします。

(参考 「インフルエンザ脳症」の手引き 厚生労働省インフルエンザ脳炎・脳症研究班編集)