福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第8週分(平成18年2月20日〜平成18年2月26日)

麻しん(はしか)

今週は、通常、春から夏にかけて流行する麻しんについてお話しします。

麻しん(はしか)は、麻しんウイルスによって起こり、急性で感染力が非常に強い感染症です。
感染経路は、主に飛沫等による空気感染ですが、感染者の鼻やのどの分泌物に直接触れて感染することもあります。

感染後、潜伏期10〜12日を経て発症します。38度前後の発熱が2〜4日間続き、咳、鼻水、くしゃみなどの上気道炎症状と結膜炎症状が現れます。その後、一旦熱がやや下がったあと、半日位のうちに再び高熱が出るとともに、発疹が耳の後ろや額、首から出現し、翌日には顔面、体幹部、上腕におよび2日後には手足の先まで広がります。発疹は、はじめ鮮紅色ですが、まもなく皮膚面より隆起し、融合します。次いで、暗赤色となり、出現した順に退色し、色素沈着がしばらく残りますが、ほとんどが発症してから2週間程度で消えます。

麻しんの合併症としては、5歳以下あるいは20歳以上で多くみられ、下痢、中耳炎、肺炎が、数%におこると報告されています。また、脳炎が1,000例に1例程度報告されており、死亡率は約15%で、後遺症が25%に残るとされています。

このように、麻しんは、感染力が強く、さまざまな合併症を起こしたり、後遺症を残したりすることがあるため、予防がとても大切な病気の一つです。麻しんワクチンによる予防効果は95%以上といわれています。接種後の反応としては、発熱が約20〜30%、発疹は約10%に認められますが、いずれも軽症で、ほとんどは自然に消滅します。ごく稀に、(100万〜150万接種に1例程度)脳炎を伴うことが報告されていますが、麻しんにかかったときの脳炎の発症率に比べるとはるかに低い頻度です。

4月から、麻しんと風しんの定期予防接種の対象年齢等が変わります。現在、麻しんと風しんの定期予防接種の対象者(生後12月から生後90月に至るまでの間にある児)であって、まだ麻しんと風しんの予防接種を受けていない子どもがいる保護者の方は、かかりつけ医かお住まいの市町村におたずねください。