福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第9週分(平成18年2月27日〜平成18年3月5日)

風しん

今週は、春先から初夏にかけて多く報告される風しんについてお話しします。

風しんは、風しんウイルスによっておこる急性の発疹性感染症です。潜伏期間は2−3週間で、主な症状として発疹、発熱、リンパ節の腫れ(特に耳の後部、後頭部、頚部)が認められます。発疹は、多くの場合、紅く、小さく、皮膚面よりやや隆起して全身にみられます。

ウイルスに感染しても明らかな症状がでない人が、15−30%程度います。また、一度かかると免疫ができるため、大部分の人は生涯、風しんにかかることはありません。

風しんウイルスは患者さんの飛まつ(唾液のしぶき)などによってほかの人に感染します。発疹がでる2−3日前から、発疹がでた後の5日くらいまでの患者さんは、感染力があると考えられています。感染力は、麻しん(はしか)や水痘(水ぼうそう)ほど強くありません。

基本的には予後が良好な疾患ですが、急性脳炎、血小板減少性紫斑病などの合併症が、二千人から五千人に一人くらいの割合で発生することがあります。また、大人がかかると、発熱や発疹の期間が子供に比べて長く、関節痛がひどいことが多いとされています。さらに、妊婦とくに、妊娠初期の女性がかかった場合、生まれてくる赤ちゃんが、「先天性風しん症候群」という難聴、心疾患、白内障をもって生まれてくる可能性があります。

風しんに対して、特異的な治療法はありません。したがって、予防として風しんワクチンの接種が大切です。風しんワクチンは、法律による定期接種のひとつで、生後12〜36ヶ月が標準的な接種年齢になっていますが、早期の接種をおすすめします。生後12か月で、まず麻しん(はしか)の予防接種を行ない、その1か月後に風しんの予防接種を行うことが、理想的です。

4月から、麻しんと風しんの定期予防接種の対象年齢等が変わります。現在、麻しんと風しんの定期予防接種の対象者(生後12月から生後90月に至るまでの間にある児)であって、まだ麻しんと風しんの予防接種を受けていない子どもがいる保護者の方は、かかりつけ医かお住まいの市町村におたずねください。