福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第10週分(平成18年3月6日〜平成18年3月12日)

結核

3月24日は「世界結核デー」です。これは、1882年3月24日に医学者コッホによって、結核の原因となる「結核菌」の発見が報告されたのを記念する日です。そこで今回は、結核についてお話しします。

世界では、総人口の約3分の1である20億人が結核に感染しており、年間900万人近くが新たに発病し、170万人が命を落としています。その多くはアジアやアフリカ地域で発生しています。

日本では、大正時代から昭和20年代までは、年間死亡者数も十数万人に及び、死亡原因の第一位でした。現在では、結核は、医療や生活水準の向上により、ほとんどの方は薬を飲めば完治できる時代になりましたが、今でも全国で年間約3万人、福岡県でも約1300人が発病しています。

人口の高齢化に伴って、結核患者も高齢者の割合が増加しています。若い頃、結核が流行していた世代の人は、結核に既に感染している人が多く、加齢や糖尿病、大きな手術等で体力・抵抗力が低下した時に、眠っていた菌が目を覚まし、発病しやすくなります。また、最近は、大都市の住所不定者や不法滞在者など、発見や治療が難しい人々の間にも結核が広がっています。

さらに、結核は過去の病気と思いこみ、症状があらわれていても本人も医師も気付かず、受診や診断が遅れ、集団感染を起こす事例もあります。

抵抗力のない赤ちゃんは、感染すると重症の結核を発病しやすく、生命にもかかわることがあります。これを予防するのが、結核の免疫をつけるための予防接種であるBCGです。乳児期の早い時期に接種を受けることが重要であるため、乳児には、生後6ヶ月になるまでの間に、確実にBCGを接種させましょう。

結核に関心を持ち、正しく知ることが予防への第一歩です。早期発見に努めることは本人の重症化や感染の拡大を防ぐためにも重要です。咳が2週間以上続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。