福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第12週分(平成18年3月20日〜平成18年3月26日)

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

今週は、冬から初夏にかけて多く報告され、現在ピークを迎えつつあるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎についてお話しします。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、患者の唾液、鼻汁などが飛散することによって、鼻や咽喉から感染します。また食品や飲料水を介しての感染や皮膚の創傷部(外傷、やけど等)からの感染もあります。

潜伏期間は、2〜5日であり、症状は、のどに炎症が起こって赤くなり、それに強い痛みを伴うことが多く、そのために物を飲み込みづらくなります。また発熱(38.5℃以上)があり、さらに吐き気を伴う場合があります。のどに化膿が起こらなければ、3〜4日で熱も下がり1週間程度でなおる病気です。

治療としては、ペニシリンなどの抗生物質がよく効きます。しかし、咽頭炎が治った後、遅れてリウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症が起こることがあります。そのため、症状がおさまっても、少し長めに薬を飲む必要がありますので、自己判断で中断したりせず、医師の指示に従いましょう。

人への感染性は発症初期に最も強く、その後徐々に減弱します。よって、予防としては、発症初期の患者との濃厚接触をさけることと、うがい、手洗いなどの一般的な予防が重要です。ただし、適切な抗生物質による治療を受ければ1日程度で、他の人への感染力は低くなります。