福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第21週分(平成18年5月22日から平成18年5月28日)

咽頭結膜熱

今週は、現在報告が増加している咽頭結膜熱についてお話しします。

咽頭結膜熱は、例年6月頃から徐々に増加しはじめ、7から8月に発生のピークを示す、主に小児にみられる急性ウイルス性感染症です。アデノウイルス3型によるものが多いのですが、4、7型によるものもみられます。なお、アデノウイルスは、咽頭結膜熱以外にも、上気道炎、胃腸炎、流行性角結膜炎、出血性膀胱炎等、多くの感染症を起こします。

潜伏期間は5日から7日で、発熱、のどの痛み、結膜炎が主な症状です。耳の周りや首のリンパ節が腫れることもあります。結膜炎は、目が充血して涙や目やにが多く出たり、目が痛んだりします。目の症状は片方の目から始まり、両方の目に広がります。一般的に予後は良好ですが、アデノウイルス7型の場合は、心肺機能等に基礎疾患をもつ小児では、重症化する危険性があり注意が必要です。特別な治療法はなく、それぞれの症状に対する治療、いわゆる対症療法が中心となります。眼の症状が強い場合は、眼科での治療が必要になることもあります。

以前は、プールでの感染が多くみられたことから「プール熱」とも呼ばれています。感染経路は、プールを介した場合には、ウイルスに汚染された水から結膜への直接侵入と考えられています。しかし、最近は、塩素消毒などプールの衛生管理が良くなったため、プールで感染することより、咳やくしゃみなどの飛沫やウイルスのついた手やタオルなどを介して感染することの方が多くなりました。

予防のためには普段からうがいや手洗いを行い、タオルやハンカチの共有を避けることが大切です。また、プールを介しての感染に対しては、水泳前後のシャワーなど一般的な予防方法の励行が大切です。

なお、学校保健法により、主な症状がなくなった後2日を経過するまで出席停止とされています。ただし、病状により学校医その他の医師において、伝染のおそれがないと認めたときは、この限りではありません。

その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。