福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第33週分(平成18年8月14日〜平成18年8月20日)

食中毒−カンピロバクター

8月は、暑い日が続きました。その影響もあるのか、食中毒の報告も続いています。そこで、今回は食中毒のなかで現在報告が多いカンピロバクターについてお話します。

カンピロバクターによる食中毒は、子供に多いのが特徴です。カンピロバクターは、ヒトだけでなく、トリ、ウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコもこの菌を持っていることがあり、とくにニワトリに多く保菌率は50%を越えるとされています。

ヒトへの感染は、これらの動物の糞に汚染された食肉、生乳、水などによって起こりますが、肉を調理したまな板や包丁、手指を介して菌が他の食品(例えば野菜サラダなど)について、それらを食べて感染が起こる場合があります。

潜伏期は1から7日で、急に発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛などが起こり、続いて吐き気、腹痛、下痢がみられます。通常は1週間以内に回復します。まれにおこる合併症として、この病気にかかったあと数週間して、手足が麻痺するギランバレー症候群(急性熱性多発性神経炎)という病気があります。

治療は、下痢が続くことによって起こる脱水に対する輸液などの水分補給や、食事制限などが主ですが、症状が重い場合や、小児や高齢者、糖尿病患者など免疫力が低下している場合などは抗菌薬が使われることがあります。

予防のためには、排便後や調理、食事の前の手洗い、肉は十分加熱する、ペットを扱った時には手洗いを行うことが必要です。鶏刺し、レバ刺し、ホルモン等、生又は加熱不十分な肉、内臓類を食べることにより、食中毒になることがあります。特に、子どもや高齢者、病気の方など、抵抗力の弱い方は、感染すると症状が重くなりやすいため、肉の生食は控えましょう。

その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。