福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第41週分(平成18年10月9日〜平成18年10月15日)

つつが虫病

今週は、山登りやハイキングに出かける機会も多くなる秋になると報告されるつつが虫病についてお話しします。

つつが虫病は、リケッチア(オリエンチア・ツツガムシ)という病原体による感染症で、この病原体に感染したツツガムシ(ダニの一種)の幼虫に吸着されることによって感染します。東北・北陸地方では、春から初夏にも発生がみられますが、九州では、秋から初冬にかけて報告が多く、福岡県でも年間数例の報告があります。

ツツガムシは、その一生の間のほとんどは、草むらや林の土壌中に生息していますが、卵からふ化した後の幼虫期に1度だけ地表にでて、野ネズミや人などの哺乳動物に吸着して組織液を吸い、その後は、また土壌中に戻ります。幼虫が病原体を保有していると、刺した所の皮膚から感染します。感染した人や動物から人への感染はありません。

主な症状は、発熱、特徴的な刺し口、発疹の3つで、およそ90%以上の患者にみられます。典型的には、ツツガムシに刺されて5日から14日後に、38度から40度の高熱で発症し、これに悪寒や頭痛、関節痛、リンパ節の腫れなどを伴います。その後、数日で、5mm前後の赤〜暗赤色の発疹が全身に出現し、数日間持続します。特徴としては胸腹部、腋の下、股などの皮膚の柔らかい所に、赤く盛り上がり、周囲が赤黒く、中央がへこみ、潰瘍や黒褐色のかさぶたを持つ、直径10mm前後の“刺し口”があることです。痛みはほとんどありません。

治療としては、テトラサイクリンなどの抗生物質がよく効きます。しかし、治療が遅れると重症化し、また死亡することもありますので、早めに医療機関で受診することが大切です。

山地・山間部での農作業、森林作業、山菜・山芋採り、レジャー等の際に感染することがあるので、このような時には、長袖の上着、長ズボンなどの服装で皮膚を露出させず、むやみに地面に腰を下ろしたり寝転んだりせず、また帰宅後は、入浴などで吸着したツツガムシを洗い流し、服を着替えましょう。


その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。