福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第49週分(平成18年12月4日〜平成18年12月10日)

RSウイルス感染症

今週は、このところ報告数が増えているRSウイルス感染症についてお話しします。

RSウイルス感染症は、RSV(Respiratory syncytial virus)によっておこる感染症で、かぜの原因となるウイルスのひとつです。
 
通常3日から5日の潜伏期間のあと、発熱、鼻汁などの上気道炎症状が数日続き、その後、咳や呼吸と共に「ゼーゼー」、「ヒューヒュー」といった音がでる喘鳴(ぜんめい)が出現し、通常10日前後で軽快します。RSウイルスは、一度かかっても免疫ができにくく、繰り返し感染しながら徐々に免疫ができていきますので、年齢を追うごとに症状は軽減します。乳幼児は、急性細気管支炎や肺炎など重症化しやすいため、痰がつまってゼイゼイするような咳がでて苦しそうにしている場合は、早めに医療機関を受診しましょう。また、感染した子供を介護する保護者も、気管支炎やインフルエンザ様症状をきたし、より重症になることがありますので注意が必要です。
高齢者においても、しばしば重症となることがあり、長期療養施設内での集団感染が問題となったこともあります。

治療は、症状を抑える対症療法が中心となります。RSウイルス感染症に対するワクチンは、実用化されていませんが、感染した際の重症化予防として、早産児や気管支肺異形成症、先天性心疾患を有する新生児、乳幼児に対して、抗RSウイルス抗体の注射薬が投与されることがあります。

RSウイルスの感染力は強く、咳やくしゃみで出る飛沫や、痰などの気道分泌物が付着した手指やおもちゃなどを介して、ウイルスが、目、のど、鼻の粘膜から感染します。したがって、調理や食事の前、鼻をかんだ後などは、手を良く洗いましょう。


その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。