福岡県感染症発生動向調査情報

平成19年第18週分(平成19年4月30日〜平成19年5月6日)

腸管出血性大腸菌感染症(O157等)

夏も近づき、腸管出血性大腸菌(O(オー)157等)感染症の報告が増えてきています。そこで、今週は、腸管出血性大腸菌感染症についてお話しします。

腸管出血性大腸菌感染症は、福岡県では、昨年1年間で、224件の報告がありました。そのうち3割弱が10歳未満でした。また、3割は検診等で判明した無症状の菌保有者でした。

腸管出血性大腸菌感染症は、ベロ毒素という毒素を出し、下痢、血便などの症状をおこす大腸菌による感染症です。菌の成分により幾つかに分類され、O157、O26、O111などが知られています。また、これらの菌は、人だけでなく、ウシ、ヒツジ、シカなどの反芻(はんすう)動物の糞便中にも見られることがあります。

人への感染は、飲食物等を介した経口感染で、牛肉などの食肉、食肉から二次的に汚染された食品、牛の糞などで汚染された飲料水、患者の便で汚染されたものなどを口にした場合に起こります。また、感染力が強く、少数の菌でも感染が成立するため、家族や保育園内などでの二次感染が多いことが特徴です。

潜伏期は平均3から5日程度で、主に水様性下痢と腹痛で発症し、血便がみられることもあります。一方、感染しても、症状がでないこともあります。下痢などの初発症状が現れて、数日後から2週間以内の時期に、腎臓の障害などをきたす溶血性尿毒症症候群(HUS)とよばれる合併症をおこすことがあります。さらに意識障害やけいれんを伴うこともあります。特に乳幼児や高齢者は重症化しやすいといわれています。

予防のポイントは食品の衛生的取扱いです。特に生肉などを取り扱う時には、注意が必要です。手洗いを十分に行い、生肉などを切った包丁やまな板は、洗ってから熱湯をかけたのち使う事が大切です。生の肉の汁などが、果物やサラダなど生で食べる物や調理の済んだ食品にかからないようにしましょう。

また、保育園や幼稚園など乳幼児が集団生活する施設においては、タオルの共用は避け、個人専用とすること、プールに入る前にはシャワー等で身体を清潔にすること、食事前、排便後、おむつ交換後の手洗いを徹底することなどを心がけましょう。

 
その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。