福岡県感染症発生動向調査情報

平成19年第20週分(平成19年5月14日〜平成19年5月20日)

麻しん(はしか)

麻しんは、全国的にも福岡県においても、平成13年に近年では比較的大きな流行をおこして以降、特にこの2、3年、報告数が少なかったのですが、今年は、1週間あたりの報告数が、4年前のレベルに近づいています。また、今年は、これまで関東を中心に報告されていたのですが、北海道や九州も報告されるようになりました。今後の動向に注意する必要があります。そこで、今週は、麻しんについてお話しします。

麻しんは、全身にみられる発疹で診断されることが多いのですが、感染後、典型的には、潜伏期10から12日を経て、38℃前後の発熱、咳、鼻水、くしゃみ等のかぜのような症状、及び「目やに」や目の充血等の結膜炎症状で発症します。これに乳幼児では下痢や腹痛を伴うことがあります。これらの症状が2から4日程度続いた後に、発疹が、耳の後ろや額、首から出現し、翌日には顔、体、上肢に、続いて手足の先まで広がります。

ほとんどは、発症してから2週間程度で発疹も消え回復しますが、まれに肺炎、脳炎等により死亡することもあります。

感染経路は、主に飛沫等による空気感染ですが、感染者の鼻やのどの分泌物に直接触れて感染することもあります。麻しんは、感染力が非常に強いうえに、診断のきっかけとなる発疹出現前から他の人へ感染しますので、感染を防ぐことが困難な感染症です。そのため予防には、予防接種が重要となります。また、これまで麻しんに罹ったことがなく、周囲に麻しん患者がいる方で、発熱やかぜ様の症状が出た場合は、麻しんも疑って、医療機関への受診以外には、外出を控えることで、感染の拡大を防ぐことが期待できます。

麻しんと風しんの定期予防接種は、1歳児と小学校就学前1年間(就学前年度4月1日から3月31日まで)の2回接種です。1歳の誕生日を迎えられた方や来年4月に小学校に就学される方は、麻しんと風しんの予防接種の対象となりますので、かかりつけ医と相談の上、予防接種を受けましょう。


その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。