福岡県感染症発生動向調査情報

平成19年第24週分(平成19年6月11日〜平成19年6月17日)

ハンセン病 【ハンセン病を正しく理解する週間】

本年6月24日から6月30日までは、「ハンセン病を正しく理解する週間」です。そこで今週はハンセン病についてお話しします。

ハンセン病は、遺伝する病気ではなく、ノルウェーのアルマウェル・ハンセン医師により発見された「らい菌」という細菌による感染症です。感染症といっても、その感染力は非常に弱く、入浴・飲食などの日常生活で感染することはありません。また、感染しても発病することはまれです。

ハンセン病は、皮膚や末梢神経の病気で、外見上に特徴的な変形が生じたり、熱さ、冷たさ、痛みなどの感覚が麻痺するため、やけどや傷ができても分からなかったりすることがあります。

現在、治療は、いくつかの薬剤を併用する多剤併用療法を基本として行われています。早期に発見し、適切に治療をすれば、障害を残すことなく治癒します。決して不治の病ではありません。

日本でのハンセン病対策は、明治40年の「癩予防ニ関スル件」によって開始され、この法律により、患者を一般社会から隔離するようになりました。この隔離政策は、平成8年の「らい予防法」廃止まで続き、長い間ハンセン病を患った人々を苦しめてきました。親や兄弟姉妹と一緒に暮らすことができず、結婚しても子どもを産むことが許されず、さらに、一生療養所から出て暮らすことができないなどといった、生活の規制を強いられてきたのです。また、この政策により、ハンセン病が、本来そうでないにも関わらず、感染性の強い病気、恐ろしい病気という偏見や誤解が生まれました。法律が廃止されたといっても、人々が持っている偏見・誤解は今でも根強く残っていて、元患者の方やその家族の人達を苦しめています。

どのような病気であっても、病気にかかることによって、その人の人権が損なわれることがあってはなりません。この週間をハンセン病について正しく理解する機会にしてみませんか。


その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。