福岡県感染症発生動向調査情報

平成19年第36週分(平成19年9月3日〜平成19年9月9日)

結核

今週は結核についてお話しします。結核は過去の病気になったと思われがちですが、今でも全国で年間約3万人の新規結核患者が発生し、約2千人が亡くなっています。福岡県においては、平成17年に新たに結核にかかった人は1123人、また結核で死亡した人は86人と報告されています。

結核は、結核菌によって主に肺に炎症をおこす病気です。排菌している結核患者が咳やくしゃみをした時に結核菌が飛び散り、それを周りの人が直接吸い込むことによって感染します。結核に感染したからといって、必ず発病するわけではありません。通常は免疫機能が働いて結核菌の増殖を抑えます。ただし、免疫力だけでは結核菌を殺すことができないので、免疫力が弱まるとたとえ数十年後でも発病することがあります。

結核の初期症状は、咳、痰、発熱、だるさや寝汗などですが、軽症の時期には症状が目立たないこともあります。病気がすすむと血痰や胸の痛みなどの症状が出てきます。

現在は、有効な抗結核薬があり、3から4種類の薬を6ヶ月から9ヶ月服用するなど、以前と比べ短期間に治すことが可能になりました。治療により菌は激減しますので、きちんとした治療を始めれば、ほとんどの方は早期に周りの人に感染させる危険性がなくなります。また、痰の中に結核菌が出ていない軽症者は、通常、外来での治療になり、周りの人に感染させることもありません。

しかし、症状が消えたからといって、治療の途中で服薬を自己判断で勝手にやめてしまうと、菌が薬への抵抗力をつけ、以後、薬が効かなくなることがあります。医師の指示に従い、治療終了まで薬をきちんと飲みつづけましょう。

結核は、現在では、早期に発見すれば、治る病気であり、周りの人へ感染する危険も減らせます。そのため、咳、痰、熱、だるさ等、風邪に似た症状が2週間以上続いたときは、早めに医療機関を受診しましょう。単なるかぜと自己判断せず、「結核では」と疑うことが大切です。

9月24日から始まる「結核予防週間」に合わせて、24日(祝)の午後、財団法人結核予防会福岡県支部及び福岡県結核予防婦人会の主催により、博多大丸エルガーラ「パサージュ広場」にて結核予防週間キャンペーンを実施します。お気軽にお立ち寄りください。


その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。