福岡県新型インフルエンザ対応指針(平成17年12月16日公表)

 ※福岡県新型インフルエンザ医療対応ガイドラインはこちらです

T 新型インフルエンザについて(想定される事態)

・新型インフルエンザウイルスが、人の集団に急速かつ広範に広がり、世界的流行を呈する状態となり、また、重症化し、死亡率が高くなることが懸念されている。
・アジア諸国に近いという地理的条件に加え、国際空港を備えており、国内初の新型インフルエンザ発生県となる可能性は十分にある。
・福岡県における新型インフルエンザ発生予測
  医療機関を受診する患者数 約69万人(最小53万人〜最大100万人)
  外来 約66万8千人(最小52万4千人〜最大97万4千人)
  入院 約 1万7千人(最小   7千人〜最大 2万1千人)
  死亡 約    4千人(最小   3千人〜最大    7千人)
  1日当りの最大入院患者数 流行発生から5週目 約4千人

U 発生段階と組織体制

  ・別途資料のとおり

V 基本方針

1.新型インフルエンザ患者が発生した場合、早期に集中的な対応を行うことにより、流行を押さえ込むこと
2.流行が広がった場合、できる限り感染の拡大を防止し、また、適切な医療を行うことにより、健康被害を最小にすること


W 状況別対応(主な対応を抜粋)

1.新型インフルエンザの発生に備えた事前準備(フェーズ3Aに相当)
  新型インフルエンザの発生に備えて、関係者の連携を強化し、また必要な準備を行う。

(連携体制の強化)
・「福岡県新型インフルエンザ対策連絡会議」を設置、開催し、県庁および政令市、消防等の各部局がもつ情報を交換することにより、認識の共有を図り、連携を強化する。
・福岡検疫所と定期的に情報交換等を行い、連携を強化する。

(訓練と演習)
・鳥インフルエンザ、又は新型インフルエンザの発生に備え、普段から発生を想定した訓練と演習をおこなう。

(発生動向調査)
・新型インフルエンザ患者を早期に探知するために、「新型インフルエンザ疑い患者報告」や「クラスターサーベイランス(学校等、小集団でのインフルエンザ様疾患発生報告)」を実施する協力医療機関や協力学校等を選定する。

(予防方策)
・「新型インフルエンザ防疫マニュアル」(検査、疫学調査、患者移送を含む)を作成する。

(新型インフルエンザワクチン)
・新型インフルエンザワクチンの接種体制を整備する。

(医療体制)
・感染症指定医療機関の病床が不足した場合に、新型インフルエンザ患者の入院治療が可能な医療機関を把握する。
・国と協議し、抗インフルエンザウイルス薬(タミフル)の備蓄をできる限り早急に行う。

(情報提供)
・新型インフルエンザ発生時に医療関係者やその他関係機関に対し、確実に情報提供ができる体制を整備する。
・外国人に対して正確な情報を提供するための体制を構築する。

2.鳥インフルエンザに感染した患者の発生時の対応(フェーズ3B、Cに相当)
感染源、経路を解明し、感染源となった鳥に対して、防疫措置を行うとともに、他の感染者を早期に探知し、新型インフルエンザの発生を防止する。

(警戒本部・対策本部)
・国内(県外)で鳥インフルエンザに感染した患者が発生した場合、新型インフルエンザ警戒本部を設置する。
・県内で鳥インフルエンザに感染した患者が発生した場合、新型インフルエンザ対策本部を設置する。

(発生動向調査)
・鳥インフルエンザ患者を早期に探知するために、「鳥インフルエンザ発生地域からの入国者における鳥インフルエンザ疑い患者報告」、「国内発生時における鳥インフルエンザ疑い患者報告」を段階に応じて実施する。
・家きん等におけるインフルエンザの検査を強化する。

(予防方策)
・殺処分等の感染家きんへの防疫措置を行う。
・養鶏場の従業員や防疫従事者等への健康調査等、防疫対応を行う。

(医療体制)
・感染鳥類との接触があり、症状がある者への受診勧奨を徹底する。
・診療する医療機関に対して、院内感染対策の徹底を要請する。

3.新型インフルエンザ発生時の対応(フェーズ4以降に相当)
(1)発生早期の対応
県内での新型インフルエンザの発生を流行に至る前に早期に探知し、速やかに感染拡大防止策を行う。

(対策本部)
・国内外で新型インフルエンザが確認された場合、新型インフルエンザ対策本部を設置する。

(発生動向調査)
・新型インフルエンザ患者を早期に探知するために、「新型インフルエンザ疑い患者報告」、「クラスターサーベイランス」を実施する。

(予防方策)
・患者及び患者の接触者調査を行い、感染源・経路の解明及び患者の早期発見を行い、感染拡大を防ぐ。
・新型インフルエンザが疑われる患者の家族等の濃厚接触者に対しては、経過観察期間を定め、外出自粛、健康管理及び有症時の対応を確実に実施するように指導する。
・個人予防対策(手洗い、うがい、マスク着用等)や有症状時の対応を、新型インフルエンザの感染予防として周知する。
・発生地域では、大規模な集会の自粛、学校等の休校、公共施設の一部利用制限等を要請する。
・医療従事者や社会機能維持に必要な者へ、状況に応じて、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を行うように、医療機関に対し要請する。

(新型インフルエンザワクチン)
・プロトタイプワクチン(ウイルスが特定されていない段階でモデルのインフルエンザウイルスを用いて作成されたワクチン)を、状況に応じて、医療従事者及び社会機能維持者等へ接種する。

(医療体制)
・すべての医療機関に対し、院内感染対策の徹底を要請する。
・新型インフルエンザの診断基準を満たす患者へ入院勧告し、感染症指定医療機関での入院治療を行う。
・感染症指定医療機関における病床が不足した場合は、その他の医療機関で入院治療を行う。

(情報提供)
・広報担当者を選任し、記者会見やホームページ等の広報媒体を通じて、県民、医療機関等の関係者に対して、速やかに情報提供する。
・新型インフルエンザに対する問い合わせ窓口を、本庁および保健所に設置する。

(2)大流行期の対応
新型インフルエンザの対策を、患者の早期発見、早期対応といった個別対応から、健康被害を最小限にし、社会機能の維持に重点を置いた全体対応へ移行する。

(非常事態宣言)
・知事が、非常事態宣言を行い、県内対策を強化する。

(社会機能の維持)
・ライフラインや公共交通機関、食料、生活必需品、医薬品、医療機器の供給、また消防や警察等の社会機能の維持に関わる機関や企業等に対し、職員等の感染予防対策の徹底、及び、多くの職員が欠勤した際の機能維持対策の実施を要請する。

(予防方策)
・更なる感染拡大を防ぐために、県民、関係者に対して、不要不急の外出を自粛し、学校等の休校、公共施設・交通機関の一部利用制限等の社会的予防の実施を要請する。

(新型インフルエンザワクチン)
・パンデミックワクチン(流行しているウイルス株を用いて作成されたワクチン)が製造され次第、希望者への接種を行う。その際、供給量に一定の限界がある場合には、あらかじめ定めておいた優先接種者に対してワクチンの接種を行う。
・ワクチン接種に伴い、接種実施モニタリングを行うとともに、ワクチン有効性の評価、副反応情報の収集・分析を行う。

(医療体制)
・新型インフルエンザに対する入院勧告、入院措置の実施を中止する。
・新型インフルエンザが疑われる患者については、対応可能なすべての医療機関で、外来及び入院対応する体制に変更する。
・新型インフルエンザ患者の入院治療は、原則として、重症患者に対して行う。
・新型インフルエンザ以外の患者については、不急な入院や手術の回避により病床を確保する。
・すべての疾患において、不要不急の場合には、医療機関への受診を控えるように呼びかける。
・医療機関における病床が確保できない場合は、あらかじめ定めた収容が可能な施設に、患者を収容する。
・抗インフルエンザウイルス薬の流通状況を把握し、適切に配布できるように流通調整する。
・医療機関における医薬品、感染防御資機材、患者の収容力、医療従事者数等の医療供給状況等を継続的に収集し、関係機関に情報提供することで、的確な医療を実施する。

(情報提供)
・広報担当者を選任し、記者会見やホームページ等の広報媒体を通じて、県民、医療機関等の関係者に対して、速やかに情報提供する。
・新型インフルエンザに対する問い合わせ窓口を、本庁および保健所に設置する。

(別途資料)発生段階と組織体制

・国内で、鳥インフルエンザに感染した患者が発生した場合には、保健福祉部長を本部長とした新型インフルエンザ警戒本部を設置する。
・県内で、鳥インフルエンザに感染した患者が発生した場合、または国内外で新型インフルエンザの発生が確認された場合には、すみやかに知事を本部長とする新型インフルエンザ対策本部を設置し、方針決定機関とする。
・併せて、平時より設置している感染症危機管理対策委員会を、技術的支援機関として活用し、専門的助言や支援を行うこととする。
・さらに、保健所を新型インフルエンザ対策の実行機関とし、疫学調査等を行う。
現在は、フェーズ3A


■新型インフルエンザ対策関連情報

 ・福岡県新型インフルエンザ対応指針(福岡県)

 ・福岡県新型インフルエンザ医療対応ガイドライン(福岡県)

 ・新型インフルエンザ対策関連情報(厚生労働省)

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