Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences
福岡県保健環境研究所
092-921-9940
〒818-0135 福岡県太宰府市向佐野39
年報
アクセス
 薬事法が改正され、平成19年4月1日から危険ドラッグとして乱用されるおそれのある一定の物質が指定薬物として規制されており、医療等の用途を除いて輸入や販売、広告等が禁止されています。平成19年4月に31物質が規制されてから、1年に1〜2回のペースで規制物質が追加されてきましたが、平成25年2月に合成カンノビノイド系の物質については包括指定により772物質が追加され、現在851物質が指定薬物に指定されいます。指定薬物を化学構造から分類すると、トリブタミン系、フェネチルアミン系、カノチン系、ピペラジン系、亜硝酸エステル系、合成カンナビノイド及びその他の化合物に分けられます。
copyright©2012 Fukuoka Institute Health and Environmental Sciences all rights reserved.

1.危険ドラッグとは
健康・保健
/ くすり(ドラッグ)・家庭用品検査
 最近、「脱法ハーブ」や「合法ハーブ」等と呼ばれる危険ドラッグの問題が表面化し、関心を集めています。いわゆる脱法ハーブを吸引後に死亡したり、意識を失ったりして救急搬送さえれる事例が全国的に数多く報告されています。福岡県でも平成23年1月から平成24年1月の間に18名が救急搬送されました(県警調べ)。また、平成24年1月には、当研究所で検査した危険ドラッグから指定薬物が検出され、県薬務課が小倉北警察署に対して薬事法違反で告発をおこないました。
 現在危険ドラッグの主流となっているのは、大麻に似た作用を持つ合成カンナビノイドと、カチノン系の化合物です。最近話題になっているいわゆる「脱法ハーブ」は、乾燥した植物細片に麻薬等に類似した作用を持つ化合物を混ぜた物で、その多くがカンナビノイドです。
「ハーブ」という言葉からは危険性が低いような印象を受けますが、作用は植物由来ではなく、後から添加された化学物質によるものです。合成カンナビノイドは体内のカンナビノイド受容体を介して、作用し、受容体との結合が強いほど作用が強いと言われています、指定薬物の中には大麻の主活性成分であるテトラヒドロカンナビノールと比べて数十〜数百倍もの作用を持つものが多く存在します、最近に危険ドラッグには、1つの製品に複数の化合物が含まれている場合が多く、また同じ名称の製品でも成分や含有量がことなることもあります。作用の強い物質は強い精神作用を及ぼすだけでなく、すぐに中毒量に達してしまい、最悪の場合は死に至るおそれがあります。何がどのくらい入っているかわからない危険ドラッグを使用することは大変危険な行為です。
2.指定薬物制度
 危険ドラッグとは、指定薬物を含有するもの、及び麻薬や覚醒剤と類似の有害性が疑われるものであって専ら人に乱用させることを目的に販売等されているものの総称です。覚醒剤等の乱用の契機ともなることから、「ゲートウェイドラッグ(入門薬)」とも呼ばれています。古くは、マジックマッシュルームや5-MeO-DIPTも危険ドラッグとして流通していましたが、いずれも現在は麻薬(麻薬原料植物)に指定されています。危険ドラッグは所持や使用が法律で禁止されていないため、麻薬や覚醒剤に比べて作用が弱く、安全だと誤解されることもあるようですが、麻薬等に類似した化学構造を持っており、それらと同等かそれ以上の作用を持つ危険な物質です。
5.今後の取り組み
 福岡県ではこれまで年1回、2〜10検体の買い上げ検査を実施してきましたが、平成24年度から検査件数を増やし、年間約30件検査しました。今後さらに件数を増やす計画を立てており、当研究所においても、迅速に検査を行えるよう検査体制を整備していく予定です。危険ドラッグは、規制しても構造を一部変えた物質が次々に登場する「いたちごっこ」の状態が続いています。新たな成分についても監視を強化し、規制するための科学的データを収集して、危険ドラッグによる健康被害の防止に努めています。
4.福岡県における危険ドラッグ検査
 当研究所では平成19年度から危険ドラッグの検査を実施しています。危険ドラッグ成分中には化学構造のよく似たのものが多く、それらを区別するために、ガスクロマトグラフ/質量分析計(GC-MS)や液体クロマトグラフ/質量分析計(LC-MS)といった機器を用いて分析を行っています。平成19年度の検査では覚醒剤が検出されました。平成22年度の検査ではいずれも指定薬物が検出されましたが、買い上げ時点ではまだ指定薬物に指定されていないものでした。しかし、平成23年度の検査では買い上げ時すでに指定薬物であったAM2201が検出されました。この販売店舗の製品を吸引したことによる健康被害が発生しているとの情報があったことから、県薬務課が販売店舗を所管する小倉北警察署へ告発をおこないました。
指定薬物への取り組み強化について
3.最近の危険ドラッグの傾向
トップページ
研究所紹介
研究概要
啓発資材
リンク集