危険ドラッグとは、指定薬物を含有する物、及び麻薬や覚醒剤と類似の有害性が疑われる物であって 専ら人に乱用させることを目的に販売等されている物の総称です(写真1、2)
[1]。平成26年7月、厚生労働省及び警察庁が合同で、これまで『脱法ドラッグ、違法ドラッグ』として浸透していた名称に代わる名称を公募し、『危険ドラッグ』という名称を採用することになりました
[2]。危険ドラッグは覚醒剤等の乱用の契機ともなることから、「ゲートウェイドラッグ(入門薬)」とも呼ばれています。
危険ドラッグは、以前は所持や使用が法律で禁止されていなかったこともあり、急速に乱用が拡大しましたが、薬事法(現:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)が改正され、平成26年4月から所持、購入、使用などが禁止されました。これにより、販売者側だけでなく使用者側の罰則も定められました。麻薬や覚醒剤に比べて作用が弱く安全だと誤解されることもあるようですが、麻薬等に類似した化学構造を持ち、それらと同等かそれ以上の作用を持つ危険な物質です。福岡県内では平成25年1月から同年12月の間に56名が救急搬送されました(消防本部調べ)。
また、平成26年3月には、福岡市内の繁華街で危険ドラッグを吸引した影響によると思われる多重衝突事故が発生しています。たった一度の使用で大切な命を落としたり、加害者として周囲を巻き込んでしまったりするケースも少なくありません。
指定薬物制度、包括指定制度
平成19年4月1日から危険ドラッグとして乱用されるおそれのある物質が指定薬物として規制され、医療等の用途を除いて輸入や販売、広告等が禁止されました
[3]。平成19年4月に31物質、1植物が指定されてから、1年に1〜2回のペースで追加されてきましたが、続々と新しい成分が合成されては市場に登場してきたため、その打開策として平成25年2月に包括指定制度が導入されました
[4]。包括指定制度とは、ある特定の基本の構造を持つ物質群を包括的に指定薬物に指定する制度です。これまで2つの物質群が包括指定となり、 一気に指定成分数は増えました。平成27年1月末現在、1452物質が指定薬物として指定されています
[3]。しかしながら、既にこの構造の一部を変えて新しい成分が市場に出回ってきており、さらなる危険ドラッグ対策の強化が急務となってきています。