後発医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を使用し、効果が同じものとして製造販売が承認されたものです。また、一般的に開発費用が抑えられるので、低価格です。安価な後発医薬品が普及すれば、患者の経済的負担の軽減や医療保険財政の改善につながると考えられています
。
そこで、国はこれまで以上に、後発医薬品の普及を進めていこうとしています。例えば、平成27年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」においては、平成32年度末までに後発医薬品の数量シェア*を80%以上とする、新たな目標が設定されました
[1]。また、厚生労働省では、平成27 年9 月に「医薬品産業強化総合戦略〜グローバル展開を見据えた創薬〜」を策定し、後発医薬品の使用の加速化を重点項目の一つとしています。そして、加速化に向けた重要な取り組みには、後発医薬品の品質確保対策が挙げられています。
国が進める品質確保対策は、以下のようなものです。まず、厚生労働省が設置した、ジェネリック医薬品品質情報検討会
[2]において、市場流通量が多いものや品質に懸念等が示された品目を中心に、優先順位を付けて品質検査の方針を決定します。次に、この方針に基づいて、国の研究機関や当研究所を含む地方衛生研究所において、品質検査を実施していく、というものです。特に、平成28年度から後発医薬品の品質関連事業が統合され、検査対象品目数も増えるなど、後発医薬品の品質確保対策事業は更に拡大されることとなりました
[3]。
これに伴い、当研究所の溶出試験装置(図1)が更新され、本年9月1日から運用が始まりました。今年度から向こう5か年に渡って、後発医薬品の品質検査(溶出試験)を集中的に実施することで、後発医薬品の品質に対する更なる信頼性の向上を図り、普及促進へつなげていこうとしています。
*数量シェア:平成27年9月時点では56.2%