1 風しんとはどんな病気ですか?
風しん(風疹、3日はしか)とは、風しんウイルスが感染することによって起こる急性の発疹症です。潜伏期間は2〜3週間で、主な症状として発熱、発疹およびリンパ節腫脹があります。麻しん(はしか)に比べ症状が比較的軽く不顕性感染が多いですが、まれに血小板減少性紫斑病や脳炎など重篤な合併症を引き起こすことがあります。また、妊娠初期の女性が感染すると、眼や心臓、耳等に障害がある先天性風しん症候群(Congenital Rubella Syndrome: CRS)の子どもが生まれることがあります。風しん及びCRSは感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)の5類全数把握疾患であり、診断した医師は直ちに最寄りの保健所へ届出ることが義務付けられています。
風しんは、1994年以降、局地的な流行は散見されるものの大きな流行はみられませんでした。しかし、2012年に大きな流行の兆しが見られ、2013年は累計で1万4千人を超え、風しんが全数報告疾患となった2008年以降、最も多い報告数となりました。その後、2018年秋ごろから再び大きな流行が発生し、2019年第9週現在でも、流行は続いています(図)[1]。
図 風しん累積報告数の推移 2013年第1週〜2019年第9週[1]
▽最新の発生報告数はこちら
https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/rubella-top/2145-rubella-related/8278-rubella1808.html
風しんに対する免疫を持たない女性が妊娠初期(妊娠20週頃まで)に風しんに感染すると、出生児にCRSを発症することがあります。CRS の3大症状は先天性心疾患、難聴および白内障です。その他に、低出生体重や出血斑、血小板減少、肝脾腫および精神発達遅延などがみられます。
風しんの大きな流行があった後には、CRSの患者も増加する傾向にあります。例えば、2012年から2013年に全国で風しんが流行した時には、2012年から2014年にかけて45名のCRS患者の報告がありました[2]。風しんの感染を防止し、CRSの患者発生を無くすためには、ワクチンの接種により集団の免疫を高めることが非常に大切です[3,4]。
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[風しんゼロプロジェクト]
▽最近の先天性風しん症候群(CRS)の報告数はこちら
https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/700-idsc/8588-rubella-crs.html
3 感染経路は?
風しんウイルスは主に飛沫感染により、ヒトからヒトへ感染が伝播します。風しんに対する免疫がない集団では、1人の風しん患者から5〜7人にうつす強い感染力があります。近年の推定感染場所は職場が最も多く、対策が求められています[5]。
4 予防はどうしたらいいの?
風しんに対する特別な治療薬や治療法はありません。風しんの予防のためには、ワクチン接種が最も有効な予防方法です[3]。
▽福岡県における風しん対策はこちら
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/kansen2013040801.html
5 参考資料
[1] 風疹急増に関する緊急情報(2019年)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ha/rubella.html
[2]風しんについて(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index.html
[3]風疹について(国立感染症研究所)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ha/rubella.html
[4]職場における風しん対策について(協力依頼)(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/181003_5.pdf