福岡県レッドデータブック

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種の解説

種の選定とその基準

今回の本書の改定にあたっては,昆虫類の分科会が前回は二つに分かれて検討が行われたのに対して,単一の分科会として対応したために,分科会の委員数も限定されて,必然的に委員は多くの作業を担当せざるを得なかった。また,研究の進展の遅れがある昆虫群については,県内で分布実態が極めて不十分にしか解明されていないために,各カテゴリーへの選定に苦慮するところが多かった。

今回の改定によって,選定された福岡県の昆虫類は絶滅6種,絶滅危惧IA類37種,絶滅危惧IB類73種,絶滅危惧II類119種,準絶滅危惧126種,情報不足56種の合計417種になった。この数は2001年の165種からほぼ2.5倍に増加した。このように増加した原因は,前回は十分に検討できなかった昆虫群を加えることができたことによるとともに,昆虫類全般にわたって県内での生息環境が悪化しつつあることを物語っている面がある。さらに,選定された種の多くがコウチュウ目とチョウ目に含まれている点は,これらの昆虫群では県内の生息状況が比較的良く解明されている結果とみることができる。一方,県内での採集および目撃記録について,その回数や地点などのデータを当該種のランク付けにどのように反映させるかについて,昆虫群の間はもとより,生物群間でも見解の相違がみられた。そのために,ただ単に採集および目撃記録の多少だけに基づいて機械的にランク付けを行うと,昆虫の場合には他の生物群よりかなり多くの種が本書に含まれることになりうるので,その選定判断は決して容易ではなかった。この点に関してはバッタ目などの昆虫類の概要でも例示して述べられている。

各カテゴリーの選定基準については,上記のように昆虫群でそれぞれ異なる点があるが,ここではチョウ類について適用された基準を列挙する。

絶滅(EX):かつては福岡県に生息が確認されていたが,ここ50年以上にわたって生息が確認されず,本県では絶滅したと考えられる種。

絶滅危惧IA類(CR): 基準年(1960年以前)における生息情報の記録に比して,現在(2011~2013年)の産地数の減少率が80%以上の場合。旧基準(1966年IUCN,1991年環境庁)の絶滅危惧種(E)の一部に相当。

絶滅危惧IB類(EN): 基準年(1960年以前)における生息情報の記録に比して,現在(2011~2013年)の産地数の減少率が50%以上の場合。旧基準の絶滅危惧種(E)の一部に相当。

絶滅危惧II類(VU): 基準年(1960年以前)における生息情報の記録(主に文献,標本調査による)に比して,現在(2011~2013年)の産地数の減少率が20%以上50%未満の場合。旧基準の危急種(V)に相当。

準絶滅危惧(NT): 基準年(1960年以前)における生息情報の記録(主に文献,標本調査による)に比して,現在(2011~2013年)の産地数の減少率が10%以上20%未満の場合。旧基準の希少種(R)に相当。

情報不足(DD): 十分な生息情報が得られれば絶滅のおそれがあると判定される可能性が大きい種。

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