福岡県レッドデータブック

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種の解説

分布情報

分布情報については,情報源を明示したものと,明示しなかったものがある。文献を引用したものについては,(高橋・岡本,1969)などと表記し,年代順に掲載した。引用文献の前に表記された複数の産地は,全てその文献に含まれる。(2010年)などの形式で表記したものは,現地調査,標本情報,アセスメント資料からの引用,私信によるもので,未発表・非公開データを含んでいる。また,(2010年)などと表記されているものは,生息またはごく新鮮な貝殻が確認されたことを意味しており,古い殻などの確認で生息が保証されない記録では,(2010年:殻)と表記した。文献情報と現地調査などの情報を併記する際は,文献情報の後に「;」で現地調査などの情報を示した。環境影響評価などのアセスメント資料からの情報は,信頼性が高いと判断されたもののみを用いた。地名表記の詳細については,後述した。また種・生息地保全の観点から,一部の種では詳細な産地記載をひかえた。可能な範囲で詳細な産地記載を行ったのは,将来的な保全・研究に寄与するためであり,本項の情報によって乱獲などが起こらないよう,強く注意を促すものである。分布記録の記載において,分科会委員と福岡貝類同好会メンバーによるものは基本的に調査者無記名とし,外部協力者の記録には姓名を記載したが,一部は記名を省略したものがあることをお詫びしておく。

[分布情報の地名表記]
市町村合併や住居表示の変更によって,地名表記が過去と現在で異なるものがある。引用文献を示したものについては,基本的に文献に示された表記で記載した。その他の記録では,現在の住居表示に基づいて記載したが,分かりやすい表記方法を優先した。地名は文献記録以外では基本的に東から西,北から南に記載した。分布情報に示された地名(下記に下線で示した)の属す行政区,その詳細や現在表記は以下のとおりである。注釈が必要と思われるもののみ示した。
玄界灘・響灘:宗像市鐘崎以西を玄界灘,以東を響灘とする海上保安庁の区分に従った。高橋・岡本(1969)の区分も同様である。博多湾:西部の今津湾を含む。
築上郡:宇留津,椎田町宇留津(築上町宇留津),豊前市:松江,行橋市:蓑島,北九州市:曽根干潟(小倉南区 曽根干潟一帯,流入河川河口域を含む),曽根干潟沖(土田ほか,1991のドレッジ地点St. 4で,文中では「小野田沖」と表現されているが,経緯度も地図上の位置も曽根干潟の西沖にもあたるため,本項では曽根干潟沖として記載した),門司(門司区),青浜(門司区大字白野江 青浜),馬島(小倉北区馬島),若松燈台付近(若松区,洞海湾の湾口部北東岸,海岸の埋立が進んでおり,現在地との対応未確認),脇田(若松区安屋 脇田),岩屋(若松区有毛 岩屋),平尾台(平尾台の範囲は,北九州市小倉南区,行橋市,田川郡香春町,京都郡苅田町・みやこ町にわたっているが,本項では北九州市小倉南区に含まれる範囲を指す),遠賀郡:汐入川(河口部は岡垣町),波津(岡垣町原 波津海岸),宗像市:鐘崎,神湊,大島,沖ノ島,福津市:津屋崎(福津市津屋崎,旧・宗像郡津屋崎町津屋崎周辺の海岸),福間・福間町・福間海岸(福津市西福間および花見が浜,旧・宗像郡福間町の海岸),福岡市東区:志賀島,海の中道(本項では玄界灘側を指す),西戸崎,和白,御島,名島,多々良(多々良川河口周辺),箱崎,福岡市中央区:西公園,鵜来島,湊町(旧・北湊町周辺),地行(地行浜,「知行,知行浜」の表記もある),樋井川(左岸は早良区),鳥飼(城南区にまたがる),福岡市早良区:百道(百道,百道浜),西新町(西新),福岡市西区:残島(能古島),室見川(右岸は早良区),小戸,生松原(生の松原),今津・今津干潟・瑞梅寺川河口(瑞梅寺川河口・干潟域とその外側の今津地区が含まれる。瑞梅寺川河口から今津橋までの干潟域の近年の記録は今津干潟で統一した。近年の記録で今津としたものは,今津橋の外側の浜崎町~宝島周辺である),大原(今津 大原),宮浦,西浦・西ノ浦(西浦),玄界島,糸島市:桜井(志摩桜井),野北(志摩野北),芥屋(志摩芥屋),姫島(志摩姫島),船越(志摩船越),寺山(志摩久家 寺山),加布里湾(泉川河口の湾で,船越湾と表記されている地図が多い。広義の唐津湾に含まれる),深江(二丈深江),福吉・福吉港(二丈福井 福吉,福吉漁港の漁業混獲物は福吉港と記載した),水無(瑞梅寺 水無),旧・糸島郡の文献記録では町名を省略した,柳川市:沖端・沖ノ端(沖端川河口域および沖端漁港周辺,漁業混獲物を含む),中島(大和町中島,矢部川河口付近),大牟田市:黒崎(大牟田市岬 黒崎。ウミマイマイなどが採集された黒崎海岸の地先は埋立られ,大牟田市昭和開となっている)。三池沖(波部・田中,1959やその他の調査地点で,三池港の沖に位置するものを三池沖と記載した)。
"Mososeki"について:A. Adamsが記載したいくつかの種のタイプ産地"Mososeki"は,山口県下関としている文献もあるが,アダムスの航海記 (Adams, 1870)では下関は"Shimonoseki"と明記されており,その海峡の対岸に"Mosi or Mososaki"の地名を挙げている。また,Pilsbry (1902)も"Mososeki"は九州・豊前地区の北部の村で"Mosi" "Moji"と地図にあるとしている。これらのことから,"Mososeki" "Mososaki"は北九州市の門司であることが明らかである。本項では,門司をタイプ産地とするマメマイマイ,イソカゼガイが掲載された。

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