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T 本計画について 新型インフルエンザは、これまでおよそ10年から40年の周期で発生しているが、1968年(昭和43年)の香港インフルエンザ以降、現在まで発生していない。また、東南アジアを中心に高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)が発生しており、それらの地域では、鳥インフルエンザウイルスが、人へ感染し、高い割合で感染者が死亡していることが報告されている。他国においても、家きん等に鳥インフルエンザが発生しており、人から人に感染する新型のインフルエンザウイルスが発生する危険性は、依然として高い状況である。 新型インフルエンザが発生した場合、ほとんどの人がウイルスに対する免疫を持っていないと考えられるため、人の集団に急速かつ広範に感染が広がり、世界的流行を呈する状態(パンデミック)となり、甚大な健康被害とこれに伴う社会的影響をもたらすことが懸念されている。 新型インフルエンザが発生し、流行が拡大し、世界的な流行に至る前の過程では、新型インフルエンザの流行をできるだけ押さえ込むことが重要であり、また、流行した場合には、感染拡大を可能な限り防止し、健康被害を最小限にとどめ、社会・経済機能を破綻に至らせないような対策をとることが重要である。そのためには、行政機関のみならず、医療機関等の関係機関及び個人各々が、必要な事項を新型インフルエンザの発生前に準備し、発生時および流行時に適切な行動及び対応をとることができるようにすることが重要である。 本計画は、平成17年12月に定めた「福岡県新型インフルエンザ対応指針」を基にして、被害想定、対策の目的及び基本対応を定めるとともに、新型インフルエンザの発生状況に応じた県の関係部局における対応をまとめたものである。 また、本計画は、国の行動計画を踏まえ、福岡県感染症危機管理対策委員会において協議してきた内容及び現在までに判明している事実に基づいて記載しているが、今後、新たな事実が判明次第、適宜、改訂していく予定である。 U 新型インフルエンザについて(想定される事態) 1.過去の新型インフルエンザ発生からの予測 20世紀中のインフルエンザの世界的流行(インフルエンザパンデミック)は、1918−19年のスペインインフルエンザ、1957−58年のアジアインフルエンザ、1968−69年の香港インフルエンザと、3回起こっている。 現在、日本において冬季に発生している季節性インフルエンザは、高齢者と乳幼児に死亡者が多くみられ、若年者の死亡はほとんどない。しかし、1918−19年のスペインインフルエンザでは、20−40歳の死亡者が、著しく増加している。したがって、今後、新型インフルエンザが発生した場合には、通常と異なり、若年者の死亡が増加する可能性がある。 また、過去の例から考えると、新型インフルエンザは、季節性インフルエンザのように冬季という限られたシーズンに流行するのではなく、どのシーズンでも発生、流行する可能性がある。 さらに、過去の世界的流行においては、流行は、2つ以上の波をもって広がっており、第2波の流行は、最初の流行から3ヶ月〜9ヶ月以内におこっている。したがって、新型インフルエンザが流行した場合についても同じことがおきる可能性がある。 一方、過去において発生した新型インフルエンザの重症度(致死率)には違いがあり、これはウイルスの特性とその時の治療薬等の医療体制を含めた環境因子が関係すると思われる。そのため、現代の日本において新型インフルエンザが発生した場合の重症度は、必ずしもスペインインフルエンザ並みとなるとは限らない。もちろんウイルスの特性によっては、より以上の致死率になることもあり得るが、アジアインフルエンザまたはそれ以下の致死率となることも十分考えられる。医療及び社会的な対応策は、これら重症度を考慮し選択する必要がある。 福岡県は、現在、鳥インフルエンザが流行しているアジア諸国に近いという地理的条件に加え、国際空港を備えており、また、アジア諸国との交流も盛んに行われ、実際にアジア諸国からの入国者や滞在者が多くみられる。 したがって、新型インフルエンザがアジア近隣国で発生した場合には、その感染者が直ぐに県内に入ってきて、国内初の新型インフルエンザ発生県となる可能性が十分にある。 新型インフルエンザが県内に流入し、患者が発生した場合には、大規模な流行となり、かつ重症化する可能性が高いことから、海外からの新型インフルエンザ感染者の流入を想定し、速やかに患者を探知し、感染の拡大を押さえ込む準備を整えておくこと等が重要である。 しかしながら、季節性インフルエンザの流行状況や新型インフルエンザの予想される感染力の強さからみて、流行を完全に阻止することは困難であることも想定し、流行が広がったときの対策を検討しておく。 2.福岡県における新型インフルエンザ発生予測 福岡県における新型インフルエンザ患者数の推計をCDCモデル*に基づき行った。その結果、全人口の25%が発病すると想定した場合、医療機関を受診する患者数は、約50万〜100万人に、死亡者数は、約3千〜7千人となった。 さらに、1日当たりの最大入院患者数は、流行が8週間続くと想定した場合、流行発生から5週目に、約4千人に達することが推計された。 一方、国の推計は、先のCDCモデルで推計した医療機関を受診する患者数の上限値を基に、過去に世界で流行したインフルエンザのデータを使用し、アジアインフルエンザ等を中等度(致死率0.53%)、スペインインフルエンザを重度(致死率2.0%)として、入院者数及び死亡者数の上限値を推計している。 この推計を、本県に当てはめた場合、入院者数の上限値は、中等度の場合では約2万1千人、重度の場合では約7万5千人となり、死亡者数の上限値は、中等度の場合では約7千人、重度の場合では約2万6千人となる。 なお、これらの推計においては、新型インフルエンザ対策の効果や現在の本県における医療環境を含めた衛生状況等については考慮されていない。 【推計結果】 ・医療機関を受診する患者数 約69万人(最小53万人〜最大100万人) 外来 約66万8千人(最小52万4千人〜最大97万4千人) 入院 約 1万7千人(最小 7千人〜最大 2万1千人) 死亡 約 4千人(最小 3千人〜最大 7千人) ・1日当りの最大入院患者数 流行発生から5週目 約4千人 (参考) * CDCモデルについて 米国における過去のインフルエンザ発生状況を基礎データとし、感染率を仮定した上で、試算したい地域の人口規模や人口構成に応じて、インフルエンザ患者数や死亡者数を計算する方法。 米国等における新型インフルエンザ対策の基礎として採用されており、厚生労働省においても本モデルを使用して試算している。 FluAid 2.0、著者 Meltzerら、2000年7月 FluSurge 1.0、著者 Xinzhi Zhangら、2004年3月 (参考) * CDCモデルについて 米国における過去のインフルエンザ発生状況を基礎データとし、感染率を仮定した上で、試算したい地域の人口規模や人口構成に応じて、インフルエンザ患者数や死亡者数を計算する方法。 米国等における新型インフルエンザ対策の基礎として採用されており、厚生労働省においても本モデルを使用して試算している。 FluAid 2.0、著者 Meltzerら、2000年7月 FluSurge 1.0、著者 Xinzhi Zhangら、2004年3月 * 重症急性呼吸器症候群(SARS)対策との違い インフルエンザは、SARSと比べ、潜伏期が短く、感染力が非常に強いので、新型インフルエンザが発生した場合には、市中感染を起こし、患者数が格段に多くなる可能性が高い。したがって、SARSに対して行ったような、外来、入院ともに限定した医療機関による対応は、インフルエンザの感染力の強さを考えると、流行期には、不可能になることが想定される。 * 地震等の大規模災害対策との違い 多くの患者への対応を要するという点では地震等大規模災害における医療と同様であるが、新型インフルエンザは感染症であるため、感染が広がるとともに、健康被害が順次、継続、拡大していくことが異なる点である。 また、被害範囲が、国内全域、全世界的となるため、大規模であったとしても地域的・局所的な被害である地震等の災害と異なり、他地域からの人員、物資等の援助が望めない。 V 対策の目的と基本対応 感染拡大を可能な限り防止すると共に、適切な医療を行うことにより、健康被害を最小限にとどめ、さらに社会、経済機能を維持することを、対策の目的とする。 そのため、疫学調査に基づく患者の早期発見、適切な医療体制の整備、ワクチンの接種等の医療対応、特に社会機能維持に関する事業者が事業継続するための計画策定およびその実行を求める社会対応、適切な行動を行えるよう必要な啓発、発生状況等のすみやかな情報発信を行っていく。 なお、これら新型インフルエンザのまん延防止のための対策を行う際には、人権に十分配慮する。 W 発生段階 新型インフルエンザへの対策は、その発生状況に応じてとるべき対応が異なることから、あらかじめ、その状況を想定し、各状況において迅速かつ的確な対応ができるよう、対応方針を定めておく。 これまで、国は、WHO(世界保健機関)が策定した「世界インフルエンザ事前対策計画」に合わせて、6つのフェーズに分類していたが、今般の改定では、新型インフルエンザが発生する前から、海外および国内発生し、大流行を迎え、小康状態に至るまでを5つの段階の分類を行った。 本県も同様に、新型インフルエンザの発生状況を5段階に分類し、本県の対応方針を定めた。 なお、各段階の移行は、国が判断し、第三段階における感染拡大期からまん延期、さらに回復期への移行については、国と協議の上、県知事が判断することになるが、その際、県全体の発生状況を踏まえ、県内保健所設置市長と協議の上、県内同一時期に移行することとする。 X 組織体制 新型インフルエンザの発生に備え、県庁および保健所設置市、消防等の各部局がもつ情報の共有及び必要な対策の準備について協議するために、「福岡県新型インフルエンザ対策連絡会議」を設置し、必要に応じ開催する。 国内外で新型インフルエンザの発生が確認された場合には、すみやかに知事を本部長とする「福岡県新型インフルエンザ対策本部」を開催し、対策の総合的、効果的な推進を図る。 その際、平時より設置している「感染症危機管理対策委員会」を開催し、医学等専門的見地からの意見を聞いて、対策の参考とする。 また、保健所を新型インフルエンザ発生地域における対応拠点とする。 さらに、県内保健所設置市(北九州市、福岡市、大牟田市、久留米市)及び九州各県と新型インフルエンザ対策について、必要に応じて協議を行い、情報の共有化を図るとともに、連携を強化する。 Y 発生段階別対応
段階:家きんなどで高病原性鳥インフルエンザの発生が認められ、まれに人への感染事例が認められるが、新型インフルエンザは発生していない段階。 目標:@新型インフルエンザ発生に備えた体制整備 A新型インフルエンザ発生の兆候の早期把握 1.基本的対応 〔組織体制〕 ・ 「感染症危機管理対策委員会」を必要に応じ、適宜開催する。 構成)学識経験者、感染症専門医、福岡県医師会、福岡検疫所 ・ 「福岡県新型インフルエンザ対策連絡会議」を必要に応じ、適宜開催し、県庁および保健所設置市、消防等の各部局がもつ情報を交換し、関係部局における認識の共有を図り、連携を強化する。 ・ 県内保健所設置市(北九州市、福岡市、大牟田市、久留米市)及び九州各県と新型インフルエンザ対策について、必要に応じて協議を行い、情報の共有化を図るとともに、連携を強化する。 〔行動計画等〕 ・ 「福岡県新型インフルエンザ行動計画」を策定し、必要に応じて、見直しを行う。 ・ 「福岡県新型インフルエンザ医療対応ガイドライン」を必要に応じて、見直しを行う。 ・ 市町村に対し、行動計画、業務継続計画の策定を要請するとともに策定を支援する。 〔訓練と演習〕 ・ 新型インフルエンザの県内発生に備え、発生を想定した訓練と演習を行う。 2.医療対応 (1)サーベイランス 〔情報の収集〕 ・ 鳥および新型インフルエンザに関する国内外の各種情報を収集・分析し、現状把握に努める。 〔モニタリング〕 ・ 現行のインフルエンザモニタリング体制下において、情報収集・分析を行う。 〔早期探知〕 ・ 鳥インフルエンザ患者発生時の報告の徹底及び新型インフルエンザ患者発生の早期探知の体制整備を行う。 (2)積極的疫学調査 〔疫学調査等〕 ・ 新型インフルエンザの発生に備え、新型インフルエンザ患者に対する疫学調査等、防疫対応を的確に実施できるよう準備する。 〔検疫所との連携〕 ・ 福岡検疫所と定期的に情報交換を行い、連携を強化する。 (3)医療体制 〔届出の徹底〕 ・ 医療機関に対し、鳥インフルエンザ患者を診察した医師は、感染症法に基づく届出を確実に行うよう要請する。 〔診療体制〕 ・ 新型インフルエンザ県内発生に備え、医師会等と連携し外来及び入院診療体制を整備する。 〔院内感染対策〕 ・ すべての医療機関に対し、新型インフルエンザ発生時に院内感染対策ができるよう準備を要請する。 〔検査〕 ・ 鳥または新型インフルエンザが疑われる患者の検体の採取、搬送、検査、保管を確実に実施できるようにする。 (4)ワクチン ・ 計画的なワクチン接種に向けて、市町村・医師会等と連携し、接種体制の整備を行う。 (5)抗インフルエンザウイルス薬 〔抗インフルエンザウイルス薬の確保〕 ・ 新型インフルエンザ発生に備え、抗インフルエンザウイルス薬の確保を行う。 〔流通体制の整備〕 ・ 新型インフルエンザ発生に備え、抗インフルエンザウイルス薬の流通体制の整備を図る。 3.社会対応 (1)予防 ・ 市町村等と連携し、インフルエンザの感染予防策について県民への周知を図るとともに、学校や事業者等においては、新型インフルエンザ発生時に感染予防策が徹底できるよう準備を要請する。 (2)社会機能維持 〔業務継続計画〕 ・ 各事業者に対し、新型インフルエンザの大流行に備え、職場における感染防止策、重要業務の継続について計画を策定する等十分な事前の準備を行うよう要請する。 〔社会的弱者に対する生活支援〕 ・ 新型インフルエンザの発生に備え、在宅の高齢者、障害者等への生活支援について検討を行う。 〔食料・生活必需品の確保〕 ・ 感染拡大に伴い社会機能が低下するなかにおいても、生活上必要となる食料・生活必需品の確保を図るための準備を行う。 〔火葬能力等の把握〕 ・ 新型インフルエンザの大流行時に死亡者が増加した場合を想定して、火葬場の処理能力について把握検討し、衛生上の観点から、一時遺体安置所として使用する場所の検討等を行う。 (3)情報提供・共有 〔県民への情報提供〕 ・ 市町村等と連携し、県民に対する新型インフルエンザについての正しい知識の普及を図る。 〔関係機関への情報提供及び情報共有〕 ・ 鳥及び新型インフルエンザ発生時の対応等の情報について関係機関と情報を提供・共有できる体制を整備する。 〔相談窓口の設置〕 ・ 県民からの問い合わせに対応するための相談窓口の設置を検討する。
段階:海外でヒトからヒトへの感染が認められ、新型インフルエンザが発生したことが確認された段階。 目標:@新型インフルエンザウイルスの県内流入阻止 A県内発生に備えた体制整備 1.基本的対応 〔組織体制〕 ・ 「福岡県新型インフルエンザ対策本部」を設置し、対応を検討する。 ・ 「感染症危機管理対策委員会」を必要に応じ、適宜開催する。 構成)学識経験者、感染症専門医、福岡県医師会、福岡検疫所 ・ 「福岡県新型インフルエンザ対策連絡会議」を必要に応じ、適宜開催し、県庁および保健所設置市、消防等の各部局がもつ情報を交換し、関係部局における認識の共有を図り、連携を強化する。 ・ 県内保健所設置市(北九州市、福岡市、大牟田市、久留米市)及び九州各県と新型インフルエンザ対策について、必要に応じて協議を行い、情報の共有化を図るとともに、連携を強化する。 〔行動計画〕 ・ 新型インフルエンザの発生に伴い、「福岡県新型インフルエンザ行動計画」及び「福岡県新型インフルエンザ医療対応ガイドライン」は、必要に応じ、随時見直しを行う。 〔訓練と演習〕 ・ 新型インフルエンザの県内発生に備え、発生を想定した訓練と演習を行う。 2.医療対応 (1)サーベイランス 〔情報の収集〕 ・ 新型インフルエンザに関する国内外の各種情報を収集・分析し現状把握に努める。 〔モニタリング〕 ・ 新型インフルエンザの国内発生に備え、モニタリング体制を強化する。 〔早期探知〕 ・ 新型インフルエンザ患者発生の早期探知のための体制を整える。 (2)積極的疫学調査 〔疫学調査等〕 ・ 新型インフルエンザの県内発生時に速やかに対応できるよう、新型インフルエンザに対する防疫対応を確認する。 〔検疫所との連携〕 ・ 福岡検疫所と必要に応じ協議を行い、新型インフルエンザの流入阻止に向け、連携して対応する。 (3)医療 〔届出の徹底〕 ・ 医療機関に対し、新型インフルエンザ患者(疑似症患者を含む)を診察した医師は、感染症法に基づく届出を確実に行うよう要請する。 〔診療体制〕 ・ 医療体制の整備を行うとともに、初期対応協力医療機関における新型インフルエンザ疑い患者の診療を開始する。 (医療電話相談窓口の設置) 〔院内感染対策〕 ・ いつ新型インフルエンザの県内発生が起きてもおかしくないことから、すべての医療機関に対して、院内感染対策の徹底を要請する。 〔検査〕 ・ 新型インフルエンザが疑われる患者の検体の採取、搬送、検査、保管を確実に実施する。 (4)ワクチン ・ 医療従事者等を対象に、あらかじめ国において備蓄しておいたプレパンデミックワクチンの接種が行われる。また、パンデミックワクチンについても供給が可能になり次第、接種が開始される。接種にあたっては、市町村・医師会等と十分協力して接種体制の整備を図る。 (5)抗インフルエンザウイルス薬 〔抗インフルエンザウイルス薬の確保〕 ・ 新型インフルエンザの流行に備え、抗インフルエンザウイルス薬の確保に努める。 3.社会対応 (1)予防 ・ 市町村等と連携し、県民及び学校・事業者等に対し、新型インフルエンザの感染予防策を徹底するよう呼びかける。 (2)社会機能維持 〔事業者の対応〕 ・ 各事業者は、新型インフルエンザの発生状況等に関する情報収集に努め、国内または県内新型インフルエンザ発生時の対応について確認しておく。 〔食料・生活必需品の確保〕 ・ 感染拡大に伴い社会機能が低下するなかにおいても、生活上必要となる食料・生活必需品の確保を図るための準備を行う。 〔社会的弱者に対する生活支援〕 ・ 新型インフルエンザの流行に備え、在宅の高齢者・障害者等への生活支援について検討する。 〔火葬能力等の把握〕 ・ 火葬場の火葬能力の限界を超える事態が起こった場合に備えた準備を行う。 (3)情報提供・共有 〔県民への情報提供〕 ・ 市町村等と連携し、新型インフルエンザの発生状況及び正しい知識についての情報提供体制を強化する。 〔関係機関への情報提供及び情報共有〕 ・ 新型インフルエンザの発生状況や国内発生時の対応等について関係機関と情報共有を図る。 〔相談窓口の設置〕 ・ 県民からの相談に対応するための窓口を開設する。
段階:国内又は県内で新型インフルエンザの発生が確認された段階。 目標:@県内での感染拡大の可能な限りの抑制(封じ込め) A感染拡大に備えた医療体制の整備 B県民への適切な情報提供による混乱防止 1.基本的対応 〔組織体制〕 ・ 「福岡県新型インフルエンザ対策本部」を設置し、対応を検討する。 ・ 「感染症危機管理対策委員会」を必要に応じ、適宜開催する。 構成)学識経験者、感染症専門医、福岡県医師会、福岡検疫所 ・ 「福岡県新型インフルエンザ対策連絡会議」を必要に応じ、適宜開催し、県庁および保健所設置市、消防等の各部局がもつ情報を交換し、関係部局における認識の共有を図り、連携を強化する。 ・ 県内保健所設置市(北九州市、福岡市、大牟田市、久留米市)及び九州各県と新型インフルエンザ対策について、必要に応じて協議を行い、情報の共有化を図るとともに、連携を強化する。 〔行動計画〕 ・ 新型インフルエンザの発生に伴い、「福岡県新型インフルエンザ行動計画」は、必要に応じ、随時見直しを行う。 2.医療対応 (1)サーベイランス 〔情報の収集〕 ・ 国内における新型インフルエンザ発生状況等の情報収集・分析を行います。また、引き続き国内外の各種情報の収集・分析に努める。 〔モニタリング〕 ・ 新型インフルエンザ県内発生および流行に備え、インフルエンザモニタリング体制を強化する。 〔早期探知〕 ・ 新型インフルエンザ患者発生の早期探知のための体制を継続する。 (2)積極的疫学調査 〔疫学調査等〕 ・ 新型インフルエンザの患者が県内で発生した場合には速やかに積極的疫学調査を実施し、患者に対し入院勧告を行うとともに、濃厚接触者等に対して抗インフルエンザウイルス薬の予防内服を行う。 〔検疫所との連携〕 ・ 福岡検疫所と必要に応じ協議を行い、新型インフルエンザの流入阻止に向け、引き続き連携して対応する。 (3)医療 〔届出の徹底〕 ・ 新型インフルエンザ患者(疑似症患者を含む)を診察した医師は、感染症法に基づく届出を確実に行うよう要請する。 〔診療体制〕 ・ 医療相談窓口を設置するとともに、二次医療圏毎に設置する専用外来の運営を開始します。第2段階における新型インフルエンザ患者は勧告入院の対象であり、感染症指定医療機関において入院医療を行う。 〔院内感染対策〕 ・ 全ての医療機関において新型インフルエンザに対する院内感染対策を実施する。 〔検査〕 ・ 新型インフルエンザが疑われる患者の検体の採取、搬送、検査、保管を確実に実施する。 (4)ワクチン ・ 引き続き、パンデミックワクチンが製造されるまで、接種対象者に対するプレパンデミックワクチンの接種が継続される。また、パンデミックワクチンについて供給可能になり次第、接種計画に基づき接種が開始される。接種にあたっては、市町村・医師会等と十分協力して接種体制の整備を図る。 (5)抗インフルエンザウイルス薬 〔抗インフルエンザ薬の確保〕 ・ 新型インフルエンザの流行に備え、抗インフルエンザウイルス薬の確保に努める。 〔抗インフルエンザウイルス薬投与者のモニタリング〕 ・ 新型インフルエンザ患者に対する抗インフルエンザウイルス薬の有効性や副作用等について評価を行う。 3.社会対応 (1)予防 ・ 市町村等と連携し、県民に対し、新型インフルエンザの感染予防策や有症状時の対応について周知徹底する。また、学校、事業者等においては、まん延の恐れがある場合には、休業、事業の縮小等の検討を行う。 (2)社会機能維持 〔事業者の対応〕 ・ 各事業者に対し、新型インフルエンザの発生状況等に関する情報収集に努め、状況に応じて、不要不急の業務の縮小等を行うよう要請する。 〔食料・生活必需品の確保〕 ・ 感染拡大に伴い社会機能が低下するなかにおいても、生活上必要となる食料・生活必需品の確保を図るための準備を行う 〔社会的弱者に対する生活支援〕 ・ 新型インフルエンザの流行に備え、在宅の高齢者・障害者等への生活支援について検討する。 〔火葬能力等の把握〕 ・ 火葬場の火葬能力の限界を超える事態が起こった場合に備えた準備を行う。 (3)情報提供・共有 〔県民への情報提供・共有〕 ・ 市町村等と連携し、国内・県内における新型インフルエンザ発生状況や対策の内容について情報提供を行い、県民への注意喚起を行う。 〔関係機関への情報提供・共有〕 ・ 新型インフルエンザの発生状況、ウイルス学的情報等の必要な情報について、関係機関と情報共有を図る。 〔相談窓口の設置〕 ・ 引き続き、県民からの相談に対応するための窓口を運営する。
段階:県内で感染が拡大し、流行した段階。 目標:@県民の健康被害を最小限に抑える A社会機能の維持 B社会不安の解消とパニック防止 1.基本的対応 〔組織体制〕 ・ 「福岡県新型インフルエンザ対策本部」を設置し、対応を検討する。 ・ 「感染症危機管理対策委員会」を必要に応じ、適宜開催する。 構成)学識経験者、感染症専門医、福岡県医師会、福岡検疫所 ・ 県内保健所設置市(北九州市、福岡市、大牟田市、久留米市)及び九州各県と新型インフルエンザ対策について、必要に応じて協議を行い、情報の共有化を図るとともに、連携を強化する。 〔行動計画〕 ・ 新型インフルエンザの発生に伴い、「福岡県新型インフルエンザ行動計画」及び「福岡県新型インフルエンザ対応ガイドライン」は、必要に応じ、見直しを行う。 2.医療対応 (1)サーベイランス 〔情報の収集〕 ・ 引き続き、新型インフルエンザの流行状況やウイルスの特徴等に関する情報収集を行う。 〔モニタリング〕 ・ 新型インフルエンザ患者から検出されたウイルスについて、病原性や薬剤感受性等についての評価を行う。 〔流行状況の把握〕 ・ 新型インフルエンザの流行状況や病原性を把握するためのサーベイランスを実施する。 (2)積極的疫学調査の終了 ・ 多くの患者の感染源の特定が不可能となり、また入院措置による感染の拡大防止効果が期待できなくなるため、患者への入院勧告や接触者の健康調査等、一部の対応は中止する。 (3)医療 〔入院勧告〕 ・ 国と協議の上、隣県の状況を踏まえ、新型インフルエンザの診断基準を満たす患者に対する入院勧告を中止する。 〔診療体制〕 ・ 医療電話相談窓口は引き続き継続するが、流行が拡大し専用外来の設置の必要性がなくった場合には、対応可能なすべての医療機関で外来診療を実施する。また、入院に関しては、まん延期以降は、入院治療が必要と判断される重症患者のみ入院とし、その他の患者に対しては、在宅治療を行う。 〔院内感染対策〕 ・ すべての医療機関に対して、院内感染対策の徹底を要請する。 〔医療機関の負荷の把握〕 ・ 大流行時には、医療機関に患者が殺到し過大な負荷がかかることが予想されるため、医療供給状況等を継続的に把握する。 (4)ワクチン ・ 引き続き、パンデミックワクチンが製造されるまで、接種対象者に対するプレパンデミックワクチンの接種が継続される。また、パンデミックワクチンについて供給可能になり次第、接種計画に基づき接種が開始される。接種にあたっては、市町村・医師会等と十分協力して接種体制の整備を図る。 (5)抗インフルエンザウイルス薬 〔抗インフルエンザ薬の確保〕 ・ 抗インフルエンザウイルス薬の流通状況や使用状況等を把握するとともに適正使用を呼びかける。一般流通抗インフルエンザ薬が一定量以下になり次第、県備蓄抗インフルエンザ薬を放出し、さらに不足する場合には国備蓄タミフルの放出を要請する。 〔抗インフルエンザウイルス薬投与者のモニタリング〕 ・ 新型インフルエンザ患者に対する抗インフルエンザウイルス薬の有効性や副作用等について評価を行う。 3.社会対応 (1)予防 ・ 市町村等と連携し、感染の機会を減少させるために、県民に対し外出の自粛、咳エチケットの実施等を促すとともに、学校、事業者等に対して、休業、事業の縮小等感染拡大防止に努めるよう要請する。 (2)社会機能維持 〔事業者の対応〕 ・ 各事業者に対して、不要不急の業務の縮小を行うとともに職員の感染予防策を徹底するよう要請する。 〔食料・生活必需品の確保〕 ・ 社会機能が低下するなかにおいても、生活上必要となる食料・生活必需品の確保を図るための対策を実施する。 〔社会的弱者に対する生活支援〕 ・ 市町村と連携し、在宅の高齢者、障害者等への生活支援を必要に応じて実施する。 〔ライフラインの維持、ごみの排出抑制〕 ・ 社会機能低下による影響を最小限にするため、県民、事業者への電気、ガス、水道その他資源の使用抑制やごみの排出抑制の必要性について検討する。 〔火葬能力等の把握〕 ・ 火葬場の火葬能力の限界を超える事態が起こった場合は、事前に決めておいた一時遺体安置所へ遺体を安置する。 (3)情報提供・共有 〔県民への情報提供・共有〕 ・ 市町村等と連携し、県内における新型インフルエンザ発生状況や対策の内容等について情報提供を行う。 〔関係機関への情報提供・共有〕 ・ 新型インフルエンザの発生状況、ウイルス学的情報等の必要な情報について、関係機関と情報共有を図る。 〔相談窓口の設置〕 ・ 県民からの相談に対応するための窓口を運営する。
段階:流行が終息に向かい、パンデミックが発生する前の状態へ急速に回復する段階 目標:@社会機能の段階的回復 A新型インフルエンザ対策の評価と見直し B第2波への備え 1.基本的対応 [対策本部の解散] ・ 「福岡県新型インフルエンザ対策本部」を解散する。 [評価、見直し] ・ 新型インフルエンザの大流行時の各々の対策について評価し、「福岡県新型インフルエンザ対応指針」の見直しを行い、これにより新型インフルエンザ対策の再構築を行う。 2.医療対応 (1)サーベイランス [情報の収集] ・ インターネット等により国内外の感染症情報を入手し、分析、整理する。 [モニタリング] ・ 新型インフルエンザの発生動向の把握を目的としたサーベイランスから、通常のサーベイランスへ戻す。 [薬剤感受性等の評価] ・ 新型インフルエンザウイルスの病原性や抗インフルエンザウイルス薬に対する感受性の評価を行うため、保健環境研究所で保管しておいたウイルスの検査を行う。 (2)医療 〔医療体制の復帰〕 ・ 大流行時にとってきた外来、入院体制を可能な医療機関から、元の体制に戻す。 〔診療体制の再構築〕 ・ 次の流行に備え、必要となる医療スタッフと治療薬、医療機器等の医療資源を評価し、再構築する。 [精神的影響への対応] ・ 県民、医療等スタッフの精神的影響(PTSD等)を評価する。 (3)ワクチン ・ ワクチン接種に伴い、接種実施モニタリングを行うとともに、ワクチン有効性の評価、副反応情報の収集・分析を行う。 3.社会対応 (1)予防 ・ 大流行時に要請していた、社会活動の制限を解除する。 (2)社会機能維持 ・ 事業者等に要請していた不要不急の業務の縮小等の対応の要請を解除する。 ・ 社会的弱者の支援について、平時の状態に戻す。 ・ ライフライン維持、ごみの排出抑制等の要請を解除する。 (2)情報提供・共有 ・ 新型インフルエンザ流行終結まで行ってきた報道機関等に対する定期的な情報提供をやめ、以降は必要に応じて行うこととする。 ・ 新型インフルエンザについて、新しい情報が分かり次第、ホームページ等により、県民、医療機関等の関係者に対して、速やかに情報を提供する。 ・ 県民からの新型インフルエンザに対する問い合わせに対応できる窓口を、本庁等に設置し、適切な情報を提供する。 ■新型インフルエンザ対策関連情報
・福岡県新型インフルエンザ対応指針(福岡県)
© Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences.
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