福岡県保健環境研究所
Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences
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 当研究所は、令和9年度中に供用開始を予定しているワンヘルスセンターの中核施設として、ワンヘルス研究に取り組んでいます。私たちは、このワンヘルス研究に取り組むにあたり、改めて「ワンヘルス」、「ワンヘルス研究」について考えてみました。以下、ご紹介します。

 なお、今後も引き続き、これらについては検討を重ね、必要に応じて修正してまいります。

2024.12.26 ワンヘルス研究検討チーム

 

 

1.ワンヘルスについて
2.保健環境研究所が考えるワンヘルス研究について

 

 

1.ワンヘルスについて

 

ワンヘルスとは、「人の健康」「動物の健康」「環境の健全性」を、互いに影響し支え合っている「ひとつの健康」と捉え、全体として調和を図りながら守っていくという考え方です。(図1






図1 ワンヘルスの考え方

 

例えば、新型コロナウイルス感染症などの人獣共通感染症は、人間活動が引き起こす行き過ぎた森林開発や温室効果ガスによる地球温暖化などにより、野生動物の生息域が変化し、人と動物の生活圏が重なり接触の機会が増えることで、双方に感染するようになったものです。(図2) また、公害の原因となる環境汚染は、人間活動による有害物質で汚染された水や大気が人の健康に直接影響を与えるほか、水俣病では、汚染された食品(魚)を摂取することにより人の健康にも影響を与え、被害を引き起こしました。(図3) この2つの例は、ワンヘルスの視点でみると、人間活動が「環境の健全性」や「動物の健康」に影響を与え、「人の健康」が損なわれたものであると考えることができます

「人の健康」を守るためには、私たちが、人と動物の健康及び環境の健全性を「ひとつの健康」として捉え、全体として調和を図りながら守っていかなければなりません



図2
 ワンヘルスの視点から見た人獣共通感染症






図3
 ワンヘルスの視点から見た環境汚染

 

 

 

 

2.保健環境研究所が考えるワンヘルス研究について

 

当研究所では、ワンヘルス研究を「多分野の専門家が連携して、『人の健康』『動物の健康』『環境の健全性』が互いにどのように影響し、支え合っているかを科学的に考察し、これらの持続的な調和や最適化の方法を様々な観点から総合的に探究するもの」と考え、研究に取り組んでいます

例えば、人獣共通感染症に関する研究では、人における感染・流行状況だけでなく、人と動物の接触状況や動物の病原体保有状況、地球温暖化や生態系の変化による影響などを考察し、人と動物の感染対策などを探究します。(図4) また、環境汚染に関する研究では、水や大気の汚染状況だけでなく、その汚染メカニズムや生物濃縮による影響などを考察し、環境汚染の拡大防止や人への健康影響の低減方法などを探究します。(図5

 

 


図4 人獣共通感染症に関するワンヘルス研究






図5 環境汚染に関するワンヘルス研究

 

 当研究所では、地方衛生研究所及び地方環境研究所として、これまで感染症や医薬品、食品、大気、水質、廃棄物、生物多様性、気候変動適応などの幅広い分野で、専門の研究員のもと、ワンヘルス研究(試験・検査、調査・研究)に取り組んでまいりました。今後も、この専門性と組織の強みを活かし、ワンヘルスの推進に向けた分野横断的かつ先進的な研究に積極的に取り組んでまいります。また、令和9年度に供用開始を予定しているワンヘルスセンターの中核施設として、所内に留まらず、国内外の研究機関などと連携を図り、世界におけるワンヘルスの推進に貢献してまいります。図6



図6 ワンヘルスセンター(イメージ)

 

 

 


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保健環境研究所が考えるワンヘルス研究とは何か?