感染症/細菌感染症

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性器クラミジア感染症

性器クラミジア感染症とは

 性器クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)による性感染症です。性感染症の患者数としては、日本のみならず世界的にも最も多いものです。

クラミジア・トラコマティスとは

 男性では尿道に軽い炎症を起こしますが、全く自覚症状がないか、非常に軽い症状にとどまる場合が大半で、症状があっても排尿時のわずかな痛みや少量の分泌物がでる程度のことが多いと言われています。しかし、重症化すると尿道炎から精巣上体炎・慢性前立腺炎などに進展することがあります。また、女性では、きわめて症状が軽く、感染症例の20%程度しか症状が出ないと言われています。症状があっても、わずかに帯下があったり不正子宮出血や下腹部痛がでる程度です。しかし、重症化すると子宮頸管炎から卵管に入り骨盤内に広がり、子宮付属器炎・骨盤内感染症となり、卵管の通過障害を起こし、難治性の卵管通過障害による不妊症となることがあります。 妊婦検診において正常妊婦の3〜5%にクラミジア保有者がみられることから、自覚症状のない感染者はかなりあるものと推測されています。

検査の目的

 県内の保健所では、性感染症の早期発見ならびに二次感染予防及びまん延防止を目的とした、エイズ/HIV、性感染症の相談と検査を実施しています。これらの相談や検査は、無料、匿名で受けることができます。

検査方法

 これまで、福岡県では、検査キットを用いたIgA抗体およびIgG抗体の抗体価測定を行っていましたが、平成25年度より、核酸増幅検査(TMA法)によるクラミジア・トラコマティス及び淋菌の遺伝子検査に方法を変更しました。従来の抗体検査では、「感染部位がわからない」、「過去の感染でも陽性となることがある」などの短所がありましたが、抗原を検出する遺伝子検査への変更により、現在の感染がより的確にわかるようになりました。

現状

 2009年から2019年の性器クラミジア感染症の定点あたり患者報告数を福岡県と全国平均で比較しました(図1)。2019年の感染症発生動向調査(国立感染症研究所)によると、福岡県の定点当たり患者報告数は、全国平均と比較して約1.2倍程度多い状況です。また、いずれの年においても全国平均に比べて多い傾向にあります。


図1 性器クラミジア感染症の定点当たり患者報告数

※ 感染症発生動向調査事業年報(国立感染症研究所)(http://www.nih.go.jp/niid/ja/survei/2270-idwr/nenpou/10119-syulist2019.html)を基に作成    


過去の検査状況は以下のリンクから該当年度をご覧ください