福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第19週分(平成18年5月8日から平成18年5月14日)

麻しん(はしか)

本年4月から5月にかけて、茨城県と千葉県で麻しんの集団感染が発生しています。この数年麻しんの報告は、減少していますが、まだ全国で数千件あると考えられます。そこで、今週は、通常春から夏にかけて流行することが多い麻しんについてお話しします。

麻しん(はしか)は、麻しんウイルスによっておこる、急性で感染力が非常に強い感染症です。
感染経路は、主に飛沫等による空気感染ですが、感染者の鼻やのどの分泌物に直接触れて感染することもあります。

感染後、潜伏期10から12日を経て発症します。38度前後の発熱、咳、鼻水などの上気道炎症状と結膜炎症状が現れた後、発疹が耳の後ろや額、首から出現し、顔面、体幹部、上腕、手足の先まで広がります。中耳炎や肺炎などの合併症が数%におこり、さらに脳炎が1,000例に1例程度報告されており、その場合、後遺症や死亡することもある重篤な病気です。

本年4月から麻しんと風しんの定期予防接種の制度が変わり、麻しんと風しんの混合ワクチンを2回接種することになります。これは、麻しんの予防接種を受けたことがあっても、十分に免疫を獲得できない方が5%程度おられ、また接種後、数年から10年以上経過すると免疫が下がってきて、流行時に、一部の方は、麻しんにかかることがあるためです。ただし、この場合の症状は、一般的に、未接種者と比べると軽度のようです。

なお、予防接種後の反応としては、発熱が約20から30%、発疹は約10%に認められますが、いずれも軽症で、ほとんどは自然に消滅します。ごく稀に、(100万から150万接種に1例程度)脳炎を伴うことが報告されていますが、麻しんにかかったときの脳炎の発症率に比べるとはるかに低い頻度です。

1歳以上2歳未満の方、または、5歳以上7歳未満であって、小学校入学前の1年間にある方で、これまで1度も、麻しんと風しんの予防接種をどちらも受けてない方は、定期予防接種の対象となるか、お住まいの市町村に確認の上で、かかりつけ医とよく相談し、接種を受けることをお勧めします。


その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。