福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第30週分(平成18年7月24日〜平成18年7月30日)

日本脳炎−蚊が媒介する感染症(その1)

暑い日が続き、屋外で蚊に刺されることも多くなってきました。また、夏期休暇を利用して、海外旅行に行かれる方もおられると思います。そこで、今回から数回に分けて、蚊が媒介する感染症についてお話します。第1回は、日本脳炎です。

日本脳炎は、極東から東南アジア、南アジアにかけて広く分布しています。また近年では、パプアニューギニアやオーストラリアの一部でも発生が報告され、アジア以外の地域へも広がってきました。日本では、ワクチンの定期接種によりすでに流行が阻止されており、毎年の報告は、10人以下となっています。福岡県内でも年間1人程度報告されており、ほとんどは高齢者です。

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスによっておこるウイルス感染症であり、人は、このウイルスを持っている蚊、主にコガタアカイエカに刺されることにより、感染します。西日本に多く、蚊の発生時期である夏から秋にかけて多く報告されています。

人から人への感染はありません。また、患者を刺した蚊に刺されても感染することはありません。

潜伏期は、5から15日で、数日間の高い発熱、頭痛、嘔吐、めまいで発病し、重症例では、意識障害、けいれん、昏睡がみられます。しかし、感染しても日本脳炎を発病するのは、100から1000人に1人程度で、大多数は無症状で終わります。ただし、発病すると死亡率は、20から40%で、幼少児や高齢者では死亡の危険は高くなります。また小児では、重度の障害を残すことがあります。
 
特別な治療法はなく、対症療法が中心となります。そのため、予防が重要となります。日本脳炎には有効なワクチンがあります。また、蚊は、バケツ、古タイヤなど、ちょっとした水溜りにも卵を産むので、蚊の発生を減らすために、これらの水を空にするよう心がけましょう。さらに、蚊に刺されないようにするには、次のことに注意しましょう。

・夕方から夜明けまでの蚊の活動期には、屋外で過ごすことをなるべく避ける
・戸外へでるときは、できる限り長袖、長ズボンを身につける
・露出している皮膚には、蚊除け剤を使用する

 
その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。